韓国で開催された2018平昌冬季オリンピック・パラリンピック大会(以下、「平昌五輪」)。開催国の韓国ではこの五輪を「ICT五輪」と位置づけ、5Gのテストサービスをはじめとする先端技術を世界にアピールした。IoT(Internet of Things)やビッグデータは、五輪のエンターテインメント(エンタメ)性を大きく高めたほか、競技のルールや戦略にまで影響を及ぼした。来る東京オリンピック・パラリンピックに生かすためにも、平昌五輪をICTの視点から振り返り記録しておきたい。

ドローンが空に描いた絵

 五輪の開会式では常にその時々の先端技術による派手な演出が行われている。3月9日の開会式でも、LEDを搭載した無数のドローンが平昌の夜空に五輪マークや動くスノーボーダーを描いた。空を同時に舞ったドローン1218機という数は、ギネス記録とされた。

 どうやら開会式当日はドローンが飛ばせず、テレビで中継された空中の絵は事前に録画された映像だったようだ。ロイターの報道によると、開会式開始45分前のサイバー攻撃が影響したとのこと。インテルも「やむを得ない緊急の事情」のためライブは断念したとコメントした。だが、快晴となった閉会式では星空を背景に大会マスコットのスホランを、ライブで描き出してみせた。

ドローンで閉会式の空に描かれた大会マスコット「スホラン」(出典:米インテル)
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 ここで使われたインテル「Shooting Star」のドローンは全長約30.5cm、重さ約227gという小型のクアッドコプター(4つのプロペラを持つドローン)で、事前に3Dデザインのソフトでショーの軌跡をモデリングしておき、ドローンの1機1機にルートを割り当てる。ドローンの電源はリチウムイオン電池で、寒さが性能に影響することから、平昌では特別な寒さ対策も施されたとされている。

 1000機のドローンは、平昌五輪の約1年前となる2017年の春節でも飛んでいる。ドローンタクシーで名を馳せた中国のベンチャーEhang(億航智能)が編隊飛行を成功させたものだ。1000機以上のドローンを安全に飛ばすだけでなく、Ehangの場合はドローン間1.5mの距離を保持する位置決めシステム、安全に着陸させる自動復帰システムなどを採用している。

 なお、平昌五輪でのドローンの遠隔制御には5Gテクノロジーが採用されたとの報道もあるが、韓国の通信会社KTは「開会式のドローンの制御は5Gによるものではない」とコメントしている。

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