宮城県が気仙沼市に建設している防潮堤の高さが、施工ミスで設計より22cm高くなっていることが明らかになった。東日本大震災後の地盤隆起分を引き下げる計画を反映せずに施工したのが原因だ。4月14日に開かれた「内湾地区復興まちづくり協議会」の会合で、河端章好県副知事が地元住民らに陳謝した。

気仙沼市魚町地区で建設中の防潮堤。背後地は市が区画整理事業で盛り土をしている(写真:宮城県)
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気仙沼市内湾地区(魚町地区と南町地区)の防潮堤の平面図(資料:宮城県)
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 施工ミスがあったのは、気仙沼市魚町地区に建設している海抜4.1mの高さの防潮堤。県が3月に測定したところ、延長312mのうち完成済みの延長160mで天端高が設計よりも高かった。

 魚町地区では、もともと防潮堤の高さを巡って住民側ができるだけ低く抑えるよう県に要望していた。当初、県は海抜5.1mのコンクリート製の防潮堤を造ることを計画していたが、住民側の求めに応じて、津波襲来時に浮力で立ち上がる高さ1mのフラップゲート(起立式ゲート)21基を防潮堤の天端に設け、通常時の高さを4.1mに抑えることを提案。住民側の合意を得たうえで、2015年7月に着工した。

 その後、震災でいったん沈下した地盤が徐々に隆起していることが判明した。16年5月に住民側が地盤隆起分を防潮堤の高さから差し引くよう県に要望。県も応じることを約束した。17年2月に国土地理院が公共工事の高さの基準となる水準点の標高を実態に合わせて改定したことを受け、県は翌3月に地盤隆起分の22cmを引き下げるように設計を修正した。ちょうど、施工者が防潮堤の基礎の打設を完了した頃だ。

 しかし、施工者がその修正を反映せずに、元の設計のまま工事を進めた。設計者も施工者に口頭で修正内容を伝えたものの、両者のやり取りが不足。地盤隆起後の新たな水準点が分かりにくいなど、図面の表記にも不備があった。さらに、工事を発注した県も修正図面や施工状態の確認が十分でなく、いずれのミスにも気付かなかった。

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