九州新幹線長崎ルートは、全線を通常の新幹線と同じ「フル規格」で整備した場合に費用対効果が最も高くなることが分かった。開発中のフリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)は運用コストが高く、導入は極めて困難であることも明確になった。国土交通省が3月30日、自民党の検討委員会で報告した。

検討中の長崎ルート。新鳥栖―武雄温泉間で、通常の新幹線と同じ軌道を新たに建設するか、既存の在来線を活用するか検討している(資料:国土交通省)
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 博多と長崎を結ぶ長崎ルートのうち、未着工の新鳥栖―武雄温泉間を対象に(1)FGTを導入して在来線と軌道を共用(2)新幹線専用のフル規格の軌道を新たに建設(3)在来線の軌間を広げて車体幅の狭いミニ新幹線を採用――の3ケースについて整備費用や工期などを比較した。

 武雄温泉―長崎間は2022年度の開業に向けて既にフル規格で建設を進めている。検討中の区間の整備が完了するまでは、武雄温泉駅で在来線に乗り継ぐ「リレー方式」で運行する。

 FGTは車輪の間隔を変えることで在来線と新幹線それぞれの軌道を行き来できるようにした車両だ。国交省の主導で、長崎ルートの開業に間に合わせるように鉄道建設・運輸施設整備支援機構などが開発を進めてきた。

 国交省の比較資料によると、FGTは車両の製造や維持にかかる費用が通常の新幹線に比べて2~3倍と高価なことから、在来線の特急列車を運行する現状と比べて年間の収支が20億円悪化する。そのうえ、FGTは最高時速が270km程度にとどまることから、時速300kmで走行する区間がある山陽新幹線には乗り入れできない。

 一方、フル規格の専用軌道を建設すれば通常の新幹線車両が利用でき、山陽新幹線とも直通運転できる。現状の特急列車より年間90億円程度の収支改善が見込めて、3案の中で最も費用対効果が大きい。

 

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