防災科学技術研究所と土木研究所は、巨大な道路橋の模型を使って東日本大震災級の地震による液状化を再現し、年次の古い橋の橋台補強技術の効果を検証した。速報で杭の曲げひずみが降伏内に収まることが分かった。

実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)を使った振動実験の様子。左が陸地で、右が水面。土槽は長さ16m、高さ4.5m、奥行き4mの寸法(出所:土木研究所、防災科学技術研究所)

真上から撮影した動画。橋の前面側の水面を見ると、底から砂が湧き上がっている。液状化層では過剰間隙水圧の上昇が確認され、液状化したとみられる(出所:土木研究所、防災科学技術研究所)

 実験は2月15日、防災科研の兵庫耐震工学研究センター(通称、E-ディフェンス)で実施した。高さ4.5m、幅4m、長さ16mの剛体土槽を用い、東日本大震災で記録された地震波で加振。液状化現象に関する実験としては世界最大規模だ。4.5分の1スケールの模型実験で、水位が高い液状化層に、既製杭と橋台から成る道路橋の下部構造を配置した。内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環として実施した。

 実験では、加振開始から約50秒で液状化現象が起こった。液状化で地盤抵抗が失われて盛り土の法面が崩れ、橋や杭を河川側へ押し出す側方流動が再現された。

振動台に載った巨大な土槽。東日本大震災における栃木県の地震記録を基に、模型のスケールに合わせて調整した地震波で揺らした(撮影:池谷 和浩)
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土槽内の模型の概要。液状化層の上に既製杭と橋台から成る橋の下部構造、橋の背面盛り土を再現した(出所:土木研究所、防災科学技術研究所)
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 今回の実験で用いた道路橋の試験体は2つとも、橋梁の液状化対策を踏まえていない1971年以前の道路橋示方書に基づいて構築。そのうち1つには、土木研究所が現在研究を進めている耐震補強手法を施した。橋台のフーチングを横軸直角方向に延長して、直下に鋼管矢板壁を設ける工法だ。側方流動が発生した際に地中の杭が受ける荷重を一部受け持ち、杭の損傷を抑える狙いがある。

橋台の補強工法の概要。支持層に根入れする格好で鋼管矢板壁を増設し、フーチングを打ち増して既存の橋台に接続する(出所:土木研究所、防災科学技術研究所)
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