「スマートホーム」をめぐる米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)と米グーグル(Google)の戦いが、リビングルームから玄関へと広がっている。2018年3月中にカメラ付きドアベル「Nest Hello」を出荷するグーグルに対し、アマゾンはカメラ付きドアベルメーカーを買収。スマートスピーカーやスマートテレビの「次」をめぐって激しく火花を散らしている。

 日本では「テレビドアホン」などの名称で1980年代から販売されているカメラ付きドアベルだが、米国ではそもそもドアベル自体が無い家が多かったこともあり、最近になって市場が盛り上がりを見せていた。カメラ付きドアベルを製品化するスタートアップが相次ぎ登場しただけでなく、グーグル傘下のネストラボ(Nest Labs)も2017年10月に新規参入を発表。3月中に製品の出荷を開始する。

画像認識AIと連携し、不審者や顔見知りを判別

 Nest Helloはスマートフォンのアプリケーションやクラウドのセキュリティサービス「Nest Aware」と連動するカメラ付きドアベルだ(写真1)。価格は229ドル。来訪者がドアベルを鳴らすとユーザーのスマホに通知が飛び、ユーザーはスマホアプリを使って来訪者を確認したり、会話したりできる。

写真1●ネストラボの「Nest Hello」
出典:米ネストラボ
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 Nest Helloはさらに、撮影した画像や動画をすべてクラウドサービスであるNest Awareに送り、画像認識による人物特定を実行する。ドアの前に家族や友人、不審者などが現れたらそれを認識して、ユーザーのスマホに通知や警告を送る。米国では宅配事業者が荷物を玄関先に置いていくケースが少なくない。Nest Helloはそうした荷物を狙う不審者を見つけ出してユーザーに警告を発する。Nest Helloのカメラが登録済みの人物の顔を捉えた場合には、グーグルの音声アシスタントである「Google Assistant」がその人物の名前を音声でユーザーに教えてくれる。

 ネストは2014年6月にセキュリティカメラのメーカーであるドロップカム(Dropcam)を買収し、セキュリティカメラ市場に進出した。これまで屋内用、屋外用のセキュリティカメラを販売してきた。そして2017年9月にNest Helloを発表し、カメラ付きドアベルにも進出した。

 こうしたグーグルの動きに真っ向から対決しようとしているのがアマゾンだ()。

表●グーグル傘下のネストラボとアマゾンによるホームセキュリティ製品に関する動向
時期企業動向
14年6月ネストセキュリティカメラのメーカー、ドロップカム(Dropcam)を買収。後に「Nest Cam」に改称する
15年10月ネストスマートロックメーカーのイェール(Yale)との提携発表
17年9月ネストカメラ付きドアベル「Nest Hello」やセキュリティシステム「Nest Secure」を発表
17年10月アマゾンセキュリティカメラ「Amazon Cloud Cam」や、留守宅の宅内に荷物を配達するサービス「Amazon Key」を発表
17年12月アマゾンカメラ付きドアベルのスタートアップ、ブリンク(Blink)を買収
18年1月ネスト提携先のイェールが「Nest Yale Lock」を2018年第1四半期に出荷すると発表
18年2月アマゾンカメラ付きドアベルのスタートアップ、リング(Ring)を買収

 アマゾンは2017年10月にセキュリティカメラの「Amazon Cloud Cam」を発表。同時にアマゾンの配達員がユーザーの留守宅の「スマートロック」を解錠して玄関に入り、宅内に荷物を配達する「Amazon Key」というサービスも開始した(写真2)。Amazon Cloud Camは、配達員専用アプリを使ってスマートロックを解錠しユーザーの留守宅に入った配達員を監視するのに使用する。

写真2●留守宅に商品を届ける「Amazon Key」
出典:米アマゾン・ドット・コム
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 アマゾンはさらに、ここにきて続けざまにカメラ付きドアベルのメーカーを買収している。2017年12月にはマサチューセッツ州に拠点を置くブリンク(Blink)を、2018年2月にはカリフォルニア州に拠点を置くリング(Ring)を買収したのだ。

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