全日本空輸(ANA)を傘下に持つ持株会社のANAホールディングス(ANAHD)と日本航空(JAL)がここ数年、それぞれ巨額のIT投資を断行している。

 先行したのはJALだ。2018年3月期に800億円もの巨費を投じて旅客系基幹システムの刷新を済ませ、ITを活用した旅客サービスの拡張に向けた下地を整えた。ANAHDもデータセンターの移転やサーバーの集約、新たな顧客データベースの構築などを順次進めており、「毎年300億円~400億円規模のIT投資を継続的に実施していく」(ANA広報部)計画だ。

 さらに両社ともITを活用した業務改革、いわゆるデジタルイノベーションに力を入れている。ANAHDは「デジタル・デザイン・ラボ(DDラボ)」という部門横断の専門部署を設け、IoT(インターネット・オブ・シングズ)やロボットを活用した空港業務の効率化、自動運転、さらには仮想現実(VR)による遠隔での旅行体験サービスなど広範な事業を打ち出している。JALも同様に「デジタルイノベーション推進部」を新設し、東京・天王洲の本社近くに他社と合同で実証実験ができる拠点「JAL Innovation Lab」を開設した。

 国内航空業界の2大勢力であるANAHDとJALが相次いでIT戦略を強化する背景には、共通の事情があると考えられる。いずれも足元の業績が好調であること、近年のインバウンド需要の増加などで外国人の乗客が増加傾向にあること、2020年の東京五輪・パラリンピックが日本流のおもてなしを世界に発信する絶好の機会になること、日本国内の中長期的な人口減少で生産性向上が今後の課題になる可能性が高いこと、などである。それらと並び記者が注目しているのは、2社がそれぞれ挑もうとしている難関とITとの関係だ。

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