春は異動や転職のシーズン。私のところにも多くの取材先から、様々な「ご挨拶」のメールが届いた。中でも驚いたのは、大阪ガスで情報通信部ビジネスアナリシスセンター所長を務めていた河本薫氏からのメールだ。2018年4月1日付で滋賀大学データサイエンス学部の教授に就任したという。

 河本氏と言えば、『日経情報ストラテジー(休刊)』が選ぶ「データサイエンティスト・オブ・ザ・イヤー」の初代受賞者で、日本一有名なデータサイエンティストとして知られる。事業に貢献するデータ分析組織作りを進めてきた河本氏が、ビジネスの場を離れることは意外だったが、一つの会社にとどまらず、広く後継者を育てていこうとする河本氏の新たな挑戦に今後も注目していきたい。

 河本氏の転身を受け、改めて思ったことがある。CIO(最高情報責任者)など、企業のITシステムやデジタル分野のキーパーソンで、大学と関わりを持つ人が増えてきたことだ。統計的な数字を持ち合わせていないが、十数年間、企業のIT責任者を取材してきた中でそう感じている。

 企業に務めながら大学で教壇に立つのがヤンマーの矢島孝應執行役員ビジネスシステム部長である。矢島執行役員は、社内向けのITシステムだけでなく、農業機械のIoT(インターネット・オブ・シングズ)ビジネスも統括する。ヤンマーのデジタル化を担う人物だ。

ヤンマーの矢島孝應執行役員ビジネスシステム部長
(写真:丸毛 透)
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 矢島執行役員は甲南大学経営学部の外部講師を5年前から担当している。2015年から2017年までは大阪産業大学のデザイン工学部でも外部講師を務めていた。このほか、早稲田大学や同志社大学でも講座を持っていたことがある。副業にならないよう、全て無報酬で引き受けているという。

 執行役員としての役割をきっちりと果たしながら大学講師を務めるのは並大抵のことではないだろう。スキルも体力も備えた矢島執行役員だからこそ可能だとも言えるが、矢島執行役員を突き動かしたのは、前職で米国に赴任していたときに感じた、ある思いだという。

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