「経営者がIT化だ、IT化だと叫んでいるわりに、社内のIT人材は少ない。というか私しかいない」「経営トップはシステムのことを、自身では理解しているつもりでも、その実、理解していないことが多い」──。

 記者は、日経コンピュータの「システム導入/刷新プロジェクト」実態調査に参画した。調査結果の自由記入欄に目を通すと、IT化に積極的な姿勢を見せる企業経営者をバッサリ切り捨てるIT部門や業務部門の担当者が、少なくないことに驚いた。

ITキーワードを叫ぶ経営者に現場は冷ややか

 前者のコメントは、年商10億円未満のユーザー企業でIT部門の課長を務める回答者からのものだ。社内のIT人材は回答者1人という状況でも、経営者は「ITは万能だ」と思っている節があるという。「新しいIT関連のプロジェクトを始めようと色々言いはするものの、結局人手不足でできないことが多い」と嘆く。

 一方の後者は、製造業のIT部門長の書き込みだ。「少し前まではクラウド、クラウドと言っていたが、最近ではRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入を唱えるようになってきた」と、ITの注目キーワードを声高に叫ぶ経営者を冷ややかに見る。

 記者が関わった実態調査は、2017年12月後半からの約1カ月間、Webで実施したものだ。調査内容はプロジェクトのスケジュール、コスト、開発したシステムに対するユーザー企業の関係者の満足状況など多岐にわたる。その結果、1201人からプロジェクト実態データを得ることができた。

 プロジェクトの実態を示す数値データの集計結果は「1700プロジェクト徹底調査」などほかの記事にまとめている。この記事では調査の自由記入欄に寄せられた指摘に注目してみた。IT部門と経営層の関係に関する内容が少なくなく、それをピックアップして読んでみると「経営層がIT部門やITを理解していない」という指摘が多かった。

 冒頭の書き込みがその代表例だが、ほかにもある。「企業のIT部門は経営層から理解されにくく、予算の獲得に難儀している」(年商50億~100億円規模の企業のIT部長)、「プロジェクトを提案しても、上層部に実施するかどうかを判断する力がない。そのプロジェクトが本当に必要なのかを理解してもらえず、予算が確保できない」(公共機関の業務部門に所属する一般職員)といったコメントが相次ぎ寄せられた。

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