私は日経 xTECHの記者に加えて、日経NETWORKという雑誌を作る仕事もしている。その日経NETWORKの最新号で、人工知能(AI)に関する記事を執筆することになった。そこで機械学習や深層学習といったAIに関する技術をおさらいするために、都内の大型書店に参考書を買いに出かけた。

 その書店の技術書フロアのAI関連書籍コーナーには、多くの本を抱えた先客がいた。10冊以上はあっただろうか。いずれも専門的な技術書ではなく、初心者向けの平易な解説書のようだった。「上司にAIについて報告するように命じられたのだろうか、あるいはAIが有望な分野だと思って自分で学習するつもりなんだろうか」といろいろ想像してしまった。

 自分が買ったのも、専門的な技術書ではなく入門書だ。ただし、買ったのは1冊だけ。あらかじめネットで調べておいた本の内容を店頭で確認して購入した。その本を選んだ決め手は「AIを実際に研究している専門家が執筆している」ということだ。

 技術にあまりなじみのない人は「書店に売っているレベルであれば、どんな本でもだいたい同じではないか」と思うかもしれない。しかし、実際には内容は玉石混交である。特にAIのように注目を集めている分野では、多くの関連書籍が企画され出版される。技術を理解していない人が流行に乗って表面だけをなぞったような本も多い。

 一方、自分が買った本は「きちんとした知識を持つ専門家が書いている」という安心感があった。機械学習のような込み入った技術を説明しようとすると、どうしても難解な説明に終始しがちだ。この本は、そうした難解な説明を避けつつ、なるべく正確な内容にしようと配慮している印象を受けた。一読することで現在のAIにかかわる技術を概観でき、記事執筆に役立った。

詳しくない人に執筆を依頼してしまう

 私は記者だけではなく編集者としての仕事をすることもある。その際にも、執筆者がどのくらい技術を理解しているかが記事の質を大きく左右する。

 この点について、以前失敗したことがある。コードをあまり書いたことがない人を「技術に詳しい」と勘違いし、プログラミングの解説記事を依頼してしまったのだ。

 解説記事は「正しいことをわかりやすく説明する」のがベストであるのは言うまでもない。そうした原稿を書ける執筆者を探すのが編集者の大きな役割の一つだ。

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