「結局、我が社はこの投資事業に参入すべきなの?」「実施するとすれば、どれくらいの利益が見込めるんだ?」――。

 あなたが年間4000万ドル(約42億6000万円)のローン投資を検討する新規事業開発のプロジェクトリーダーだとして、経営陣や上司から冒頭のように聞かれたら、どう答えるだろうか。

 筆者は2018年1月、こんな極めて実践的な模擬演習に立ち合う機会を得た。といっても、社会人が通うビジネススクールに出席したわけではない。大阪大学大学院で行われた「意思決定とデータ科学」という授業に飛び入り参加したのだ。

 この日、授業に出た15人の学生は全員、阪大の大学院生。事前に与えられたデータ(ローンの貸し倒れ実績)を使って、自分が立てた仮説に基づく予測モデルを機械学習ソフトで生成して検証してきていた。授業では3人1組に分かれた5チームが「どれだけの利益を見込めるか」「最終的にこの投資事業を進めるべきか」を7分間でプレゼンテーションしていった。

機械学習ソフトで生成した予測モデルによる検証結果を発表する大学院生。ローンの貸し手として「年間4000万ドルを投資すべきか」を判断し、意思決定のためのプレゼンテーションを上司に行うという設定の実践的な演習だ
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 この科目は阪大の「数理・データ科学教育研究センター」の大学院等高度副プログラムの1つだ。機械学習や統計数理など「データ科学(サイエンス)」に関心がある阪大大学院生なら、誰でも受講できる。

 実際、授業に出席していた学生は理系の大学院生に限らず、専攻もバラバラ。ただ、この春に就活を控えた学生が多かった。今ならどんな業界に進むにせよ、大学院時代に機械学習を体験しておいて損はない。学生たちは機械学習の経験がほとんど無いにもかかわらず、独自の予測モデルを考え、そのプレゼンも社会人に引けを取らない素晴らしい出来栄えだった。機械学習を真剣に学ぼうとしている姿勢がひしひしと伝わってきた。

 プレゼンは、企業で日々行われている投資案件の検討場面の再現といってよいほど、リアルな設定だ。そのせいか、この日の授業にはある種の緊張感が漂っていた。

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