セキュリティベンダーBlue Planet-worksの子会社で、IoT(インターネット・オブ・シングズ)セキュリティを手掛けるTRUSTICA。今夏から活動を本格化する予定だ。会長を務めるマーク・ケルトン氏は30年以上にわたって米中央情報局(CIA)で勤務し、要職を務めた経歴を持つ。様々なデバイスがつながる5G(第5世代移動通信システム)の時代が到来したとき、新たに求められるセキュリティについて聞いた。

(聞き手は山崎 洋一=日経 xTECH

5G時代に求められるセキュリティとは何か。

 私には34年間、CIAに勤務した経験がある。CIAでの最後の仕事は、他国の諜報員からCIAを守るカウンターインテリジェンスのチーフだった。ここでは元諜報機関の人間として、5G時代にどのようなセキュリティの脅威が新たに出てくるかについて話したい。

TRUSTICA会長のマーク・ケルトン氏。CIAで34年のキャリアを持ち、海外赴任経験は16年以上。パキスタン支局長をはじめ、国家秘匿任務部/防諜担当の副長官を務めた
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 5G時代でも守るべきものは明らかで、機密情報をはじめ、通話などのコミュニケーション、プライバシーなどになる。産業界であれば、レピュテーションや顧客情報、研究開発に関する情報も該当する。国家なら安全保障に関する情報も当てはまる。

 これらに対する脅威の一つはハッカー集団で、昔からあり今後も残り続ける。では新しい脅威は何かと言えば中国が様々なことを監視できる、すなわち盗聴したり情報を窃取したりできる5Gのシステムを世界中に入れられるようになることだと考えている。国家の安全保障に関わる問題であると同時に、一般的な企業にとっても重要な問題である。企業の機密情報やハイテク情報を全部窃取されてしまう可能性があるためだ。

 中国の諜報機関の目的は西側諸国と異なる。コンペティティブアドバンテージ、つまり競争力を得ることを一つの目的として、新しい産業などの情報を収集する。これにより、自国のベンダーを助ける。国のポリシーや政策として、諜報機関が出す情報を基に産業を助ける、支援するということだ。西側諸国にこうしたことはできない。

 中国には消費者ではなく提供者になるプランや、デジタルシルクロードといった政策があるが、通信産業においては5Gのインフラを独占することで自分たちのコンペティティブアドバンテージにしていこうと考えているのではないか。

 ここで理解しなければならないのは、中国の企業は競争力を高めるために必要な情報があった際に、欲すれば諜報機関からもらえること。中国には経済力や人民の幸福、国力を上げていくといった、きちんとした政策がある。この実現のために自国の産業などに対して情報を提供し、より競争力が上がるようにする仕組みを取り入れている。

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