マネーフォワードは2018年5月23日、仮想通貨事業への進出を明らかにした。同年3月に立ち上げた完全子会社であるマネーフォワードフィナンシャルの代表取締役社長には、2017年9月に日本銀行から移籍し、その後マネーフォワードの執行役員を務めていた神田潤一氏が就任している。

 2012年の創業以来、家計簿管理サービス「マネーフォワード」や企業のバックオフィス効率化支援サービス「MFクラウドシリーズ」などを手掛けてきたマネーフォワード。コインチェックによる仮想通貨流出事件を受けて逆風を受けていた仮想通貨市場だが、マネックスグループによる参画で落ち着きを取り戻しつつある。このタイミングで仮想通貨市場へと打って出る狙いはどこにあるのか。神田氏に話を聞いた。

(聞き手は原 隆=日経FinTech


マネーフォワード執行役員、マネーフォワードフィナンシャルの代表取締役を務める神田潤一氏
撮影:常盤 武彦
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マネーフォワードフィナンシャルは具体的にどのような事業を手掛けていくのか。

 年内をめどに仮想通貨交換所の開設を目指すつもりだ。正直に言えば、いつ登録が可能かどうかは不透明な部分もある。それまでにいくつかの取り組みに着手する。

 最初に手掛けるのは家計簿管理サービスのマネーフォワードと、他社の仮想通貨交換所とのデータ連携だ。マネーフォワードでは銀行やクレジットカードなど2600以上のサービスの利用履歴や残高の連携が可能で、既にbitFlyer、Zaif、Coincheckの3つの交換所の保有残高や取引履歴の管理機能をAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)連携で実現している。これを2018年6月中をめどに約20の交換所まで拡大する予定だ。これによって、仮想通貨取引ユーザーのほぼ全てをカバーしたい。APIを公開していない交換所に関しては、スクレイピング技術で情報を自動取得してマネーフォワードで管理できるようにする。

 次に今夏をめどに仮想通貨に関するメディアを立ち上げる。ここでは国内外の仮想通貨の動向をニュースとして配信していくほか、各取引所の価格情報の比較も実現できればと考えている。当然、仮想通貨交換業の実施に合わせてウォレットアプリも開発する。これは従来のマネーフォワードとは別に、新たな独立したアプリだ。もちろん、マネーフォワードともデータを連携可能にする。

仮想通貨に「手触り感」をもたらす

 基本的な考え方としては、仮想通貨をまずメディアで知ってもらい、理解を深めた上で、保有してもらう。その上でニーズに合わせて仮想通貨を決済や送金に利用してもらう。さらには、毎月定額で積み立てるなどして資産形成にも活用してもらう。現在、税金の申告で苦労するケースが散見されるが、そこを簡便に処理できるようにしていく。こうした世界をマネーフォワードグループで実現していきたい。

既に仮想通貨交換所を手掛けている事業者は多い。後発であるマネーフォワードは他社とどのように差異化を図っていくのか。

 仮想通貨にはまだダーティなイメージが根強く残っている。セキュリティに関する懸念も払拭できていない。我々はこれまでも家計簿データや会計データなど、センシティブなデータを取り扱ってきたが、問題を起こしたことはない。セキュリティに力を入れることは言うまでもないが、実現したいのは仮想通貨に「手触り感」をもたらすことだ。

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