今なお、家電の王様として一目を置かれる「テレビ」。4Kが買いか、フルHDで十分か。8Kは普及するのか。HDRは必要か。有機ELか液晶か。話題に事欠かないテレビの未来について、ソニーで「WEGA」や「BRAVIA」を成功に導いた映像技術者で、現在はアイキューブド研究所を率いる近藤哲二郎氏に聞いた。

I3研究所(アイキューブド研究所)代表取締役社長の近藤哲二郎氏
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家電量販店では4Kテレビがずらりと並び、また2018年12月1日に放送が始まる8Kが話題になっています。しかし近藤さんは、4Kや8Kはテレビの映像技術のトレンドではないと主張しています。

 (日本のテレビの父と呼ばれる)高柳健次郎氏が、ブラウン管を使って片仮名の「イ」の文字を映し出したのが1926年。そのときの走査線は40本でした。それから長年にわたって、走査線を増やす「帯域の拡大」の開発が続きます。40本から100本、そして245本というように、テレビは走査線数を増やしていきました。

 テレビ放送が始まると、日本では白黒の街頭テレビの前に黒山の人だかりができるほど、人々はテレビに熱中しました。その後、テレビはカラー化します。日本で楽しまれてきたアナログのカラーテレビ放送はNTSC方式です。これは、映像を525本の走査線に分割して放送するものでした。

 さらに2000年ごろから、走査線を750本(有効走査線720本)や1125本(同1080本)に増やしたHDTV(High Definition Television)の普及が進みます。HDTVに対応した高解像度テレビが相次いで発売されました。この高解像度テレビに従来の標準解像度の映像をよりリアルに映し出すための「超解像技術」でメーカーが競い合ったのも、この時代です。このころは、まさに「日本の時代」ですね。

 さて、今後もテレビの高解像度化、すなわち帯域の拡大は続くでしょうか。

 「帯域への要求はなくなった」というのが私の考えです。なぜなら、解像度について言えば、人間の目のセンサーは650万画素しかありません。これ以上に高解像度化しても、人間の目には判別できないのです。そう考えると、2K(フルHD)と4Kの間に「満腹ライン」があると言えます。テレビの帯域には解像度の他に、ビット深度、フレームレート、色域、輝度(ダイナミックレンジ)などがありますが、いずれも帯域拡大の価値は小さくなってきています。

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