国内のスタートアップエコシステムが今より未熟だった2010年6月。1つのメディアが産声を上げようとしていた。有志が集まり始めた「Startup Dating」。エンジニアと起業家をつなぐミートアップを開催し、後にニュースサイトを開設。2013年10月に社名とサイト名を「THE BRIDGE」に変更し、その後も国内のスタートアップ業界の振興に貢献し続けてきた。
 プレスリリース配信のPR TIMESは2018年4月19日、THE BRIDGEの事業譲渡を受けたと発表した。メディアはそのまま存続し、代表の平野武士氏も執筆を続けるという。PR TIMES社長の山口拓己氏、THE BRIDGE代表の平野武士氏に話を聞いた。

(聞き手は原 隆=日経 xTECH/日経FinTech

THE BRIDGE代表の平野武士氏(左)とPR TIMES社長の山口拓己氏(右)
(撮影:新関 雅士)
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買収ではなく事業譲渡となった理由は。

平野武士氏(以下、平野氏):会社自体をそもそもシンプルな構成にしていたことに起因する。代表取締役の私以外に従業員がいない組織形態にしていた。その理由は、取材対象が起業家であることが多く、THE BRIDGEで執筆する記者もそれぞれが事業を展開していたほうが話を聞きやすいという背景があったからだ。人的な資産がない分、会社の売却よりは事業譲渡のほうがシンプルだ。

山口拓己氏(以下、山口氏):PR TIMESは2017年9月にもSkipforwardからSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型のタスク管理ツール「Jooto」を事業譲渡の形で吸収した。この際も、CEO(最高経営責任者)やCTO(最高技術責任者)などのメンバーがPR TIMESに移籍した。今回も同様のスキームを用いた。平野氏にはそのままメディアの運営に携わってもらう。

PR TIMES社長の山口拓己氏
(撮影:新関 雅士)
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事業の買収にかかった費用は。

山口氏:申し訳ないが金額については非開示としている。我々として、THE BRIDGEは非常に価値がある事業と捉えている。ここ最近、メディア事業の買収が報じられる度に、金額も含めて大きな話題として扱われる。ただ、金額だけで比較されては、我々が絶対的に感じている価値について、誤解される可能性もある。

 THE BRIDGEとの関係は2016年1月まで遡る。もともとこのタイミングで資本参画しており、業務提携してきた。今回の事業譲渡を検討し始めたのは2017年12月だ。意思決定は速かった。THE BRIDGEはポテンシャルが大きいと感じていたし、我々と一緒になることでもっと大きな役割を担えるはずだと感じていた。そもそも、社会的なニーズは高いのだ。

 確かにスタートアップメディアの収益化は非常に難しい。だからこそ、より我々がサポートすることでスタートアップの情報コンテンツが生み出される状態を作り出すことができれば、我々にとっての未来の顧客層も広げられると考えている。

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