静止衛星軌道から地上に垂らしたワイヤー(テザー)を昇降することで宇宙空間までの行き来ができる宇宙エレベーター。材料技術の進展によってあながち夢物語とも言えなくなったこのアイデアによる「太陽系物流網」の構築を目指して、要素技術開発のための環境づくりに日々取り組む。

(聞き手は木崎 健太郎=日経 xTECH/日経ものづくり)

 われわれが住む地球の表面近くは、実は鉱物資源の豊富な場所ではありません。地球がドロドロのマグマだったときに、重い元素が内部に沈んでしまっているからです。対して太陽系内の宇宙空間には、鉱物の豊富な小惑星が多数漂っています。例えば小惑星511番「Davida(1903LU)」には、1538京米ドル(1ドル110円として約17垓円)の資源があると試算した企業(米Planetary Resources社)もあります。

おおの・しゅういち 1991年神奈川大学工学部卒業、その後情報系技術職員、財務部職員として同大に勤務。2007年米国にてNASA宇宙エレベーター技術競技会“Elevator:2010 The Space Elevator Challenge”に機械系技術担当として参加。2008年宇宙エレベーター協会設立、2009年3月に一般社団法人となり、現在会長。(写真:尾関裕士)
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 このような資源を地球に持ち帰るには、大量輸送機関が必要です。地球上の人口は依然として増え続けており、資源とエネルギー不足の問題を解決するためには、宇宙開発は極めて有効なのです。太陽光を遮るもののない宇宙空間なら、地球表面の24倍の効率で太陽光発電が可能だから、そのエネルギーをマイクロ波で地上に伝送して活用しようというアイデアもあります。

 しかし、宇宙開発に必要な大量輸送には、ロケットでは費用対効果が全く合いませんし、ロケットは荷物を「持っていく」ことはできても「持ってくる」ことは考えられていない。ワープとか「どこでもドア」が実現可能ならともかく、現状では建設に100年かかろうと150年かかろうと、可能性が見えていて最も効率が良い技術が宇宙エレベーターです。

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