「当社が受託するハードウエアの設計案件は、今やほとんどがFPGA(回路構成を自由に変更できる半導体)がらみ。とにかく開発人材が足りない」――。

 こう語るのは、OKIアイディエス(群馬県高崎市)で代表取締役社長を務める穴田則明氏だ。沖電気工業(OKI)グループの同社は、情報通信機器や映像機器、FA(ファクトリーオートメーション)機器、医療機器などの設計受託開発を手掛けるEMS(Electronics Manufacturing Servive)事業会社である。

 EMSといえば、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業などが有名だが、OKIアイディエスはスマートフォンなどの大量生産ではなく、少量多品種でより専門性が要求される機器開発を得意とする。

OKIアイディエスの事業領域(出所:OKIアイディエス)
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 穴田氏によれば、同社が手掛ける製品分野ではここ数年でFPGAの受託開発案件が増加し、社内の人材不足感が際立ってきたという。

 その背景にあるのは、自動運転やFA、先端医療機器などの組み込み分野におけるAI(人工知能)システム開発の広がりである。例えば自動運転システムやADAS(先進運転支援システム)のような車載用途では、AIの推論処理速度やその処理に伴う消費電力への要求仕様が厳しい。豊富な計算資源を使えるクラウドAIとは開発思想が大きく異なる。

 そこで、開発時に回路をソフトウエアで自由に書き換えられ、開発コストを安く抑えられるFPGAに注目が集まっている。量産の際にはASIC(特定用途向け半導体集積回路)に落とし込む製品も、開発段階では設計を柔軟に変えられるFPGAを用いるのが一般的である。

 FPGA人材に求められるスキルは特殊だ。穴田氏はFPGA開発について「見た目はソフトウエア開発だが、本質は回路設計」と表現する。回路記述用のハードウエア記述言語「Verilog-HDL」や「VHDL」の習得はある程度の教育で十分対応可能で、AIのアルゴリズムそのものへの深い理解もいらない。むしろ、FPGAに搭載するプロセッサーのArmコアや標準I/Oの最新情報を常に収集し、顧客の要望に基づいて回路方式を最適化できる「高度人材」が不可欠だという。「最終的に求められるのはエレクトロニクスに関するノウハウだ」(穴田氏)。

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