東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京大会)には国内外から大勢の観客が訪れる。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下、組織委員会)は、1000万人以上の来場者を見込む。世界的にもスマートフォンの普及が進む2020年、来場者のほとんどはスマートフォンを持ち込むだろう。

 約7万人を収容する新国立競技場は、1カ所に最も多くの来場者が集中する。来場者が持つスマートフォンは、もはや観戦に欠かせないツール。撮影した動画をSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などにリアルタイムでアップロードするといった使い方が一般的になるはずだ。

 そこでモバイル通信回線が混雑し、スマートフォンがネットにアクセスできなくなったらどうだろうか。観客は失望して帰路につくに違いない。ユーザー体験を損なわず、満足して帰ってもらうには、通信混雑は絶対に避けなければならない。

組織委員会と携帯電話事業者、施設所有者がオールジャパン体制で臨む

 組織委員会は東京大会のモバイル通信環境の整備に向け、2017年11月8日にガイドラインを公開した。正式名称は「東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた携帯電話の通信環境整備ガイドライン」。

「東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた携帯電話の通信環境整備ガイドライン」の表紙
出所:東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
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 組織委員会はモバイル通信環境の整備を大会成功のための重要な課題ととらえ、携帯電話事業者と施設所有者、組織委員会が連携して取り組むために制定したという。

 整備対象は、競技会場、マラソン・ロードレース・聖火リレーのコース、選手村やオリンピックホテル、会場までの動線など。これらの場所で、観客や大会関係者がストレス無く音声通話やデータ通信が利用できることを目指す。具体的には、以下の2点を目標に掲げる。

(1)音声通話:20%のユーザーが同時に通話してもつながる
(2)データ通信:すべてのユーザーがいつでも100%接続可能

 基地局の設置など実際の環境整備は携帯電話事業者が実施する。「携帯電話事業者と連絡会を1年以上前に立ち上げた。携帯電話事業者が工事計画を立てやすいように、施設所有者の協力を得て競技場の図面情報などを共有している」(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の舘剛司 テクノロジーサービス局長)。ただし、携帯電話事業者による設計や工事はこれからのようだ。

 では、具体的にどのような対策を講じれば通信の混雑を防げるのだろうか。それには2016年にブラジル・リオデジャネイロで開かれた「リオ2016オリンピック・パラリンピック競技大会」(以下、リオ大会)が参考になるだろう。

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