シェアリング(共有)で移動手段の選択肢を増やし、目的地まで早く確実に到着する。こんな動きが東京都で広がりつつある(図1)。混雑する電車やバスのすぐ横を、シェア自転車が次々と走り抜けていく。道路渋滞の影響の受けにくさで注目され、シェアはクルマや駐車場など、他のモビリティー関連でも勢力を伸ばしている。

図1 モビリティー関連シェアを駆使して東京オリンピック・パラリンピック会場へ
都心部での混雑を避けるため、クルマや駐車場、自転車を代表とするモビリティー関連のシェアが活発になる。
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 シェアの仕組みをうまく使えば、モビリティーの所有や移動にかかるコストを抑えられる。数人で車両をシェアして使えば、個別の利用に比べて移動に対する環境負荷も低減できる。

 モノの所有を減らして、共有して効率的に使えるようにする「シェアリングエコノミー」の市場規模は、今後拡大が期待される。米プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の予測によれば、2013年の150億ドル(1ドル=108円換算で1兆6200億円)から、2025年には約22倍の3350億ドル(1ドル=108円換算で36兆1800億円)に増えるという(図2)。従来型のレンタル業と比べて同程度の市場規模に成長し、「所有よりシェア」の機運はさらに高まる。この柱になり得るのが、クルマや駐車場、自転車など移動を支援するモビリティー関連のシェアである。2020年の東京を形づくる次世代のモビリティーシステムの利便性をさらに高められる。東京五輪を契機に新たな仕組みを構築できれば、世界の各都市に転用可能なモデルケースになる。

図2 シェアリングエコノミー産業と従来型レンタル業の想定売上増加額
シェアリングエコノミー産業と従来型レンタル業を合計した市場規模は、2025年に6700億ドル(1ドル108円換算で72兆3600億円)になる。このうちシェアリングエコノミー産業は、2013年の150億ドル(1ドル=108円換算で1兆6200億円)から2025年には約22倍の3350億ドル(1ドル=108円換算で36兆1800億円)に拡大する。カーシェアや駐車場シェア、自転車シェアなどのモビリティー関連のシェアは大きな成長が見込める。(出典:プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の発表資料を基に日経 xTECHが作成)
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 大人数での移動に適する既存の電車やバスだけでは、増加を続ける東京都民や国内外から訪れる来場者がスムーズに移動することは難しい。人口1400万人、1日あたりの電車利用者800万人。東京五輪時にはそこに約70万人の移動が加わり、東京の交通網は危機に直面する(関連記事:東京から始まるモビリティー革命、世界を先導する)。交通の停滞を防ぐためには、移動手段の選択肢を増やして人とモノを分散させるしかない。クルマや駐車場、自転車などをシェアして東京の交通課題の解決に挑む。

駐車場が空いていない

 東京をクルマで移動するときの課題は、駐車場の空きの少なさである。目的地近くまで行っても、併設の駐車場や付近のコインパーキングがすべて満車というケースが多い。周辺を走り回り、ようやく空き駐車場を見つけることになりがちだ。駐車場の空き状況をリアルタイムで表示できるカー・ナビゲーション・システム(カーナビ)やスマホ用のアプリケーション(アプリ)もあるが、駐車場は基本的に早い者勝ちなので確実ではない。事前予約に対応している駐車場やアプリは限られる。

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