既存のシステムに機能を追加したり、機能を改修したりするエンハンス開発。新規開発とは、工数見積もりの勘どころが異なる。経験の浅いプロマネは新規開発と同様に開発規模で見積もりをしがちだが、これだと見積もりが過小になる。

 工数の見積もりは、新規開発では機能数や画面数といった開発規模を基にする場合が多い。一方、エンハンスは「開発規模で工数を推定してはいけない」(キヤノンITソリューションズの五月女基史SIサービス事業部金融第二開発本部部長)。

 同じ機能の画面を1つ開発するのに、設計や実装で必要となる工数は新規開発とエンハンスで大差がない。一方、要件定義とテストにかかる工数は、新規開発とエンハンスで大きく異なる。

新規開発と同じ見積もり方法を使ってはいけない理由
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 エンハンスの要件定義工程では、要件の検討に加えて、稼働中のシステムに与える影響を調査する必要がある。作成する画面について要件を決めれば済む新規開発よりも、ほとんどの場合で必要な工数が膨らむ。

 要件定義工程の影響調査で実施すべき事項は大きく2つある。

 1つは影響範囲だ。TISの三重野康彦エンハンスメント革新室室長は「影響する可能性があれば、手を加えていないプログラムについてもテストを実施する。全プログラムのテストは現実的ではないので、調査で対象を絞り込む」と説明する。モジュール間の依存関係の整理といった作業の工数が必要となる。

 もう1つは実際の利用状況の把握だ。利用現場では、本来の設計とは違う使い方をしている場合がある。例えば、使わなくなったはずの商品区分コードを、別の目的に使っていたりする。こうしたケースでは、機能要件を変更したり、現行の利用状況を前提にテスト範囲を調整したりする必要がある。「ヒアリングや実際のデータを調査するための工数が必要だ」(三重野室長)。

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