国土交通省が土木の領域で打ち出したi-Construction(アイ・コンストラクション)。建設現場の生産性を高めるために2016年から本格的に進めている政策だ。既に土工事をはじめ、比較的単純な工種で広がりを見せている。

 同省は25年度までに、建設現場の生産性を20%改善するという目標も掲げる。既に建設現場には新しい技術導入などによる生産性向上を図り始めた建設会社も少なからず存在している状況だ。

土木の領域で自動運転を活用する未来の年表。2016年9月に開催された政府の未来投資会議で、建設現場の生産性を25年度までに20%高めるという目標が示された。その原動力となる国土交通省の政策、i-Construction(アイ・コンストラクション)では、ICTの全面的な活用や規格の標準化などによって、建設生産プロセスの改善を目指している。日本建設業連合会では、19年度内に毎月第2、4土曜日を一斉閉所にして、21年度末に建設現場の週休2日を実現する計画を立てている(出所:日経 xTECH)
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 土木工事の発注は主に国と自治体が担う。そして、いわゆる公共の土木事業に投じられる費用は、毎年約20兆円に上る。手堅く、巨大な市場だ。ただ、この巨大市場の中心を担う建設業の生産性は、長年にわたって低迷を続けている。

 建設業の付加価値労働生産性(経済活動別の(実質)国内総生産を就業者数と労働時間の積で除したもの)は、1994年には製造業との差がほとんどなかった。ところが2015年には、建設業の付加価値労働生産性が製造業の半分程度という状況に甘んじている。製造業はこの20年で労働生産性を高めてきたのに対して、建設業は1994年に比べてほとんど変わらない状況にある。

 土工やコンクリート工といった、土木工事で大きな位置付けを占める主要工種を見ても、生産性がほとんど向上していないことがよく分かる。1984年度と2012年度の単位工事量当たりに必要な人手を土工やコンクリート工で比べたところ、ほとんど変わっていなかった。

コンクリート工や土を切り崩したり成形したりする土工では、単位量当たりの施工に必要な作業員が約30年前とあまり変わっていない(資料:国土交通省の資料を基に日経 xTECHが作成)
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 土木工事の現場の生産性を高めるツールとして効果を上げ始めているのが、操作性を改善した重機だ。国内では災害復旧事業や東京五輪をにらんだ事業など、建設需要が高まる傍らで、現場で作業する技能者の減少や高齢化が進んでいる。優秀な重機オペレーターの確保が難しい現場も珍しくない。

 こうした状況を受けて、経験の浅いオペレーターでも簡単に重機を操れるアシスト機能を持たせた重機が、建設現場に出回り始めている。技能者が誤って操作しても、機械が止まるなど制御機能が働く機械だ。ベテランのオペレーターでなくても、図面通りに施工できるのだ。

 人手不足や現場の省力化への対応を一気に進める方法として期待されているのが、工事現場への適用が広がる“半自動”の運転支援システムをさらに進めた自動運転技術だ。大手建設会社や重機メーカーが、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を駆使して実現を目指している。既に、複数の重機を自動運転させて、効率的に工事を進める事例も出てきた。

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