IoT×AI×ものづくり=デジタルツイン(上)
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 ここで改めて、デジタルツインを実現するための技術を整理してみよう。デジタルツインを活用、成功させるためのフェーズは大きく3つに分かれており、それぞれ求められる技術がある。

 最初のフェーズは現実世界の情報を収集して、デジタルツインに反映するフェーズだ。ここでは、センサーおよびセンサーのデータを収集するためにIoTの技術が使われる。次にデジタル世界でデジタルツインを分析するフェーズがある。ここではコンピューターによる数値シミュレーション、ビッグデータ解析、AIなどの技術が重要になる。そして最後が、分析結果を機器や生産設備の各種パラメーター、メンテナンススケジュールなどを決定する判断材料として現実世界に生かすフェーズである。ここでは、分析結果を人間に分かりやすい形で表示するためにAR(拡張現実)/MR(複合現実)が使われようとしている。

 このうち最初のフェーズでは、求めたい物理量を既存のセンサーで取得できない場合、センサーを新たに追加設置するか、既存のセンサーが取得した物理量から目的の物理量を類推することになる。

部品そのものがセンサーになる

 新たに取り付けるセンサーは、スペースの制約を受けないよう小型・軽量化することが望ましい。電源や通信手段も確保しなければならない。このため最近では、部品そのものをセンサーとする取り組みも登場している。その1つが、ドイツのシェフラー(Schaeffler)が開発した「Sensotectコーティングシステム」である。同システムでは、軸受やブラケットなどの部品表面に配線パターンを作り、そこに電流を流す。部品のひずみ量に応じて配線を流れる回路の抵抗値が変化するので、そこから部品に加わる力やトルクなどを計測する。配線パターンは、部品表面に特殊な合金をコーティングして、所定のパターンが残るように削って作製する。

図●Sensotectコーティングシステムによってセンサー機能を付加した軸受(左)とブラケット(右)
出所:シェフラー

 既存センサーが取得した物理量から他の物理量を類推する事例には、住友ゴム工業の「SENSING CORE」がある。タイヤはグリップした状態(動摩擦状態になっていない状態)でも弾性変形による微小なスリップが発生しており、加速時には駆動輪となるタイヤの回転速度(回転数にタイヤの円周を掛けた値)が非駆動輪となるタイヤの回転速度より小さくなる。SENSING COREでは非駆動輪の回転速度を車両速度と見なして、駆動輪の回転速度と車両速度の差を車両速度で割った値を「スリップ率」として算出する。タイヤの回転数を測定するセンサーはすでに搭載されているので、スリップ率を求めるために新たなセンサーを追加設置する必要はない。

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