環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮した企業へ投資する「ESG投資」。これまで欧米で主流だった手法が国内で浸透し、自然環境の保全や活用の意識が高まってきた。

 2015年9月に国連が採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」が、さらにその投資意欲を加速させている。30年をめどに、世界共通で取り組むべき17の目標と169のターゲット、評価指標が定められた。

 目標には「持続可能な開発のために資源を保全し、持続可能な形で利用する」という項目がある。木や植物などを由来とする自然素材の適度な活用やそれを成立させる技術開発は、今後の有望市場となる。

 特に木材は、建築家をはじめとする多くの設計者が注目する素材の1つだ。2010年10月に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され、木材の利用促進が国の政策に位置付けられた。

 最近では巨大な建築物などにも使われ始めている。例えば、新国立競技場では屋根に木と鉄によるハイブリッド構造を採用する(図1)。木を使った構造物が使われている間は、CO2の固定という意味を持たせることができるため、木の利用は環境システムへの貢献につながる。

図1 新国立競技場のイメージ
片持ち形式の屋根の構造は鉄骨造(S造)だが、木材と組み合わせる「ハイブリッド構造」にすることで、変形を抑制する剛性を付与した(出所:大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所共同企業体)
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 豊かな森林資源を持つ日本。だが、人口減少や少子高齢化が進んで森林の伐採・管理は遅々として進まない。森林は荒廃するばかりだ。建設業や製造業で、伐採した森林から得られる素材の活用用途が広がれば、森林の維持管理はもちろんのこと、地方創生にも貢献することになる。建築設計が1つの建物を飛び越えて、国土の環境をも設計する――。まさに設計の概念を一変する素材となるのだ。

 建設業に限らず、車などのプロダクトに木を使った試作品が登場するなど、素材としての木の注目度はますます高まりを見せている(図2)。

図2 トヨタ自動車が2016年に発表した木の車
(出所:トヨタ自動車)
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