材料というと1つの学問とか研究分野に分類され、建築や製品の設計者が詳しく学ぶ機会は限られています。設計者などが材料を学ぶ重要性について、どのようにお考えでしょうか。

 建築教育について言えば、材料はあまり教えてこなかった分野です。建築教育では材料工学が構造の分野に入っていますが、コンクリートや鉄が出てきても、すぐに構造計算の勉強に移ってしまいます。本当の意味で材料を教えるような体制になっていないのです。

隈 研吾(くま けんご)
1954年横浜市生まれ。79年に東京大学大学院を修了。87年に空間研究所、90年に隈研吾建築都市設計事務所をそれぞれ設立した。2008年にKuma&AssociatesEurope(パリ)を設立し、09年から東京大学教授を務める。2020年に開催される東京五輪のメーンスタジアムとなる新国立競技場を設計するほか、JR東日本が建設する品川新駅のデザインアーキテクトも務める(撮影:吉成 大輔)
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 人間が手を触れるという点で、本当は建物にはどんな材料がふさわしいのかといった問題も、軽く考えられていました。でも実は、材料は構造にも関わるし、もっと大きな社会システムに関わる可能性があります。最近になってようやく、みんなで考えるべき一番重要な課題だと認識され始めたと感じています。

国内外で教育に違いが出ていますか。

 世界の建築教育において新しい潮流となっているのは、「パビリオンづくり」です。学生は自分たちの手で、材料を確認しながらパビリオンを構築していきます。

 日本の建築教育は頭でっかちになってきていますが、コンピューターが入ってきたことで、一層、頭でっかちになってしまいました。もう一度、頭から手に戻す必要があるのではないでしょうか。パビリオン建築はそのためにとても役立つとみています。

 世界の建築教育では、どういう材料でつくるかという「構法」への関心が高まっています。私が興味をそそられているのは、その中にロボットが入り込んでいる点です。ロボットを使って、パビリオンをつくるような事例が出てきているのです。

 ドイツのシュツットガルト大学の建築学科では、ロボットを使った教育に力を入れています。近くにメルセデス・ベンツがあることも影響しているのでしょう。ロボットを使ったパビリオンづくりもやっています。スイスのチューリッヒ工科大学でも、ロボットに焦点を当てた建築教育を展開しています。

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