景気の変動に仕事量が左右される建設業界。好況の時は“本業”といえる公共事業の受注に邁進し、不況になると“周辺分野”の新規事業に手を広げて本業を補うというサイクルが繰り返されています。

 ところが、その法則が崩れつつあります。例えば、“周辺分野”の代表格であった「環境」ビジネス。最近では、飢餓の防止やジェンダーの平等、質の高い教育の確保といったことまで含めて「持続可能」と表現される機会が増えましたが、その「持続可能」を、本業のマイナスを補うものと考えるのではなく、正面から向き合いながら事業を進めている会社が増えてきました。とはいえ、単なる“精神論”ではありません。日経コンストラクション5月14日号で特集「お金になる『持続可能』」を企画しました。

日経コンストラクション5月14日号特集「お金になる『持続可能』」から
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 「持続可能」という言葉に、どんな印象をお持ちでしょうか。先述の通り、建設事業に最も関係するのは環境への配慮であるせいか、持続可能といえば「コストアップ要因」、「企業の負担になる」というイメージがぬぐえないのも確かです。

 そんななか、「持続可能」に積極的に関わり、それをビジネスにしている建設会社や建設コンサルタント会社が出てきています。例えば、「持続可能ビジネス」の代表といえる再生可能エネルギー事業に力を入れる戸田建設。環境省の実証実験への参画をきっかけに、長崎県の五島列島沖で、商用規模として国内初となる出力2MW(メガワット)の浮体式洋上風力発電装置を建設して発電事業を実施中です。そして今年度から、10倍の規模に当たる合計20MW級の洋上風力発電事業に着手します。

 この事業には際だった特徴が2つあります。1つは、請け負いではなく自ら出資して事業者となって事業を進めていること。そしてもう1つは、資金調達に当たって100億円規模の「グリーンボンド」を発行したことです。グリーンボンドとは、環境課題の解決に使途を限定した債券で、全世界での発行額はこの4年間で10倍に増加しています。建設会社が本業の資金調達に発行したのは国内で初めてのケースで、戸田建設によれば、通常の債券を発行した際に比べて投資家からの反響が大きかったと言います。

 再生可能エネルギーに限らず、グリーンインフラや省エネ住宅など、建設関連の企業が取り組める「持続可能」ビジネスは少なくないはずです。持続可能は世界の多くの投資家にとって関心の高いキーワードなので、企業にとっては資金調達が容易になり、企業評価も高まるというメリットが出てきました。時代は変わりました。持続可能は単なるコストアップ要因ではなく、利益を生み出す事業の種になりつつあるのです。

出典:日経コンストラクション、18年5月14日号
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