建設ラッシュに沸いたバブル景気の時代、人手不足を埋めようと、建設ロボットの開発がブームになったことがありました。ところが、その後の建設需要の減少で、結果的に人手不足は解消。ロボットブームは間もなく下火になりました。

 一方、昨今は情勢が大きく異なります。少子高齢化で、今後の技能労働者不足は確実。政府と業界は一丸となって生産性向上に取り組んでいます。大手建設会社や建設機械メーカーは、施工の自動化に向けて、建設ロボットの開発に再びチャレンジし始めました。日経コンストラクション2018年3月26日号では、特集「建設現場は『工場』になるか?」を企画し、建設現場自動化の最前線を追いました。

日経コンストラクション3月26日号特集「建設現場は『工場』になるか?」から
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 かつてのロボット開発ブームと昨今とを比べると、いくつかの違いがあります。1つは前述した人手不足に対する逼迫度の違い。そしてもう1つ見逃せないのが、ICT(情報通信技術)や人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)など、ロボットを支える諸技術の進展です。これによって、ロボット単体ではなく、ロボットを組み込んだシステム全体で施工の自動化を目指すというシナリオを描けるようになりました。

 施工の自動化には様々なプレーヤーが参入していますが、カギを握る企業の1つがコマツでしょう。2015年に、現場の生産性を高める取り組みの先駆けとも言える「スマートコンストラクション」事業を開始し、大きな存在感を示しています。

 コマツの強みは、建機の自動化技術を保有していることにとどまらず、多くの現場で蓄積した施工に関するデータを握っていること。それをベースに新たなビジネスを志向しています。同社はNTTドコモ、SAPジャパン、オプティムとともに、昨年10月にLANDLOG(ランドログ)という企業を立ち上げ、土木向けIoTプラットフォーム「ランドログ」の運営を始めました。オープンなプラットフォームとして、コマツの建機以外の情報も集約することをもくろんでいます。

 ドローンやセンサーなどのIoT機器で取得した現場の地形データや、重機の稼働データなどをクラウド上に集約し、第三者が使いやすいように加工。年会費10万円を払って「パートナー」になれば、データの提供を受けられるだけでなく、有望なビジネスモデルができれば最大1000万円の支援も受けられます。既に、100社程度がパートナーに興味を示していると言います。

 このように、施工の自動化を核に、建設関連の企業にとっての新たなビジネスチャンスが生まれています。また、ビジネスに参加しない企業でも、自社に合ったサービスが登場すれば、ユーザーとして利用することができます。自動化の技術だけでなく、それに伴って生まれるビジネスやサービスにも注目しておきたいものです。

出典:日経コンストラクション、2018年3月26日号
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