大阪北部地震で被害に遭われた方々、西日本を中心とする豪雨で被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。

 今号(2018年7月12日号)は、冒頭からニュースクローズアップ 「現地リポート 大阪北部地震」10ページ、特集「震災裁判」24ページと、地震に関連する大型記事が2つ続きます。どちらの記事も核になっているのは、ブロック塀倒壊による死亡事故のリポートです。

[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]

 6月18日に発生した大阪北部地震で、高槻市立寿栄(じゅえい)小学校のプールわきに設置していた長さ約40m、総重量12トン以上のブロック塀が道路側に倒壊。小学4年生の女児が塀の下敷きとなって死亡しました。

 同校の塀については、現行の建築基準法施行令に照らして、3つの点で問題があったと考えられます。

寿栄小学校の倒壊した塀は、建築基準法施行令で定める基準に対して高過ぎることや、控え壁や鉄筋などでも問題があった。図はイメージ(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 一方、特集「震災裁判」では、記事の1つである「熊本地震・ブロック塀倒壊訴訟 擁壁上の塀は『違法』と提訴」のなかで、2016年4月に発生したブロック塀倒壊死亡事故をめぐる訴訟についてリポートしています。

熊本地震で死亡事故が発生したブロック塀の設置状況を示したイメージ図。高さ約2mの擁壁ブロックの上に、高さ約2.15mのブロック塀が積んであった(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 2つの図を見ると、状況が実に似ていることに驚かされます。

 もしかしたら、この記事を読んで「ブロック塀が建築基準法で規定されている」ということを初めて知った人もいるかもしれません。「延べ面積」がないブロック塀がなぜ建築基準法に?…と。規定があることを知っていたとしても、その詳細を把握している人は少数と思われます。

 大阪北部地震でブロック塀倒壊の報道が相次いだあと、日経アーキテクチュアの記者(当時)が8年前に書いた記事(「たかがブロック塀、されどブロック塀」)がよく読まれました。ブロック塀に関する建築基準法の規定の詳細を知らなかった人が参考にしたためと推察されます。

 2つの事故の詳細と、法規面から見た論点(指摘されている問題点のなかには「違法」かどうかの判断が微妙なものもある)については、それぞれの記事を読んでいただくとして、ここまでお読みいただいた方のために、ブロック塀について規定している建築基準法施行令62条の8を引用しておきます。

■建築基準法施行令62条の8

 補強コンクリートブロック造の塀は、次の各号(高さ1.2m以下の塀にあっては、第5号および第7号を除く)に定めるところによらなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。

  1. 高さは、2.2m以下とすること。
  2. 壁の厚さは、15cm(高さ2m以下の塀にあっては、10cm)以上とすること。
  3. 壁頂および基礎には横に、壁の端部および隅角部には縦に、それぞれ径9mm以上の鉄筋を配置すること。
  4. 壁内には、径9mm以上の鉄筋を縦横に80cm以下の間隔で配置すること。
  5. 長さ3.4m以下ごとに、径9mm以上の鉄筋を配置した控壁で基礎の部分において壁面から高さの5分の1以上突出したものを設けること。
  6. 第3号および第4号の規定により配置する鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、縦筋にあっては壁頂および基礎の横筋に、横筋にあってはこれらの縦筋に、それぞれかぎ掛けして定着すること。ただし、縦筋をその径の40倍以上基礎に定着させる場合にあっては、縦筋の末端は、基礎の横筋にかぎ掛けしないことができる。
  7. 基礎の丈は、35cm以上とし、根入れの深さは30cm以上とすること。

 特集では、熊本地震のブロック塀倒壊訴訟のほかにも、以下の記事を掲載しています。かつてのように「天災」がつくり手の責任を軽減する理由になりにくくなっていることが分かります。

<特集目次>

 そして、この原稿を書いている間にも新たな天災が起こり、被害が拡大しています。西日本を中心とした豪雨被害については、まずはこちらをご覧ください。「日経 xTECH」として、専門媒体を横断する形で記事を発信してまいります。

出典:日経アーキテクチュア、2018年7月12日号
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。