大林組が考える森林と共生する街「LOOP50」。巨大な木造建築には住宅のほかにオフィスや商業施設、学校、病院、ホテルなど街に必要な機能が備わっている(出所:大林組)
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 木造建築が見直されている。住友林業は木造を主要部材とした高さ350m、地上70階建ての超高層ビルを、2041年までに建設する構想を2月に発表した。生活に身近なところでは、鉄骨造の注文住宅を手掛けてきたトヨタホームが、18年から木造住宅の事業を本格化している。

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 防耐火性への懸念や高層化の難しさで閉ざされていた木材の可能性は、技術の進歩によって新たな扉が開かれ始めている。この流れのたどり着く先には、どんな建築が実現するのか。大林組は最先端の技術を突き詰めて、森林と共生する街「LOOP50」の構想をまとめた。

 LOOP50は、大林組がまとめた純木造の大規模建築を中心とした街の建築構想だ。街の中核となる「ループ棟」は、いくつかの区画に分かれた木造建築が楕円形に集合した巨大構造体で、直径が650m~800m、高さは80m~120mに達する。一般的なビルならば20階から30階の高さだ。この建物を森林に囲まれた中山間地域に建設し、約1万5000人、5500世帯が暮らす街とする。

 構想に携わった大林組設計本部の小林利道プロジェクト推進部長は、「木を最大限に生かした建築の在り方を考えるうちに、森林資源を建築部材として活用するだけにとどまらず、廃材や端材をエネルギー源として再利用し、建物周辺の森林を50年かけて育てる循環社会のアイデアにたどり着いた」と説明する。

「ループ棟」と呼ばれる楕円形の木造建築。直径は650m~800m、高さは80m~120mとなる。この建物を森林に囲まれた中山間地域に建設し、約1万5000人、5500世帯が暮らす街とする(出所:大林組)
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LOOP50で木を活用する循環フロー。建築部材として使った木材は、解体後にエネルギー源としてバイオマス発電の原料となる(出所:大林組)
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 ループ棟の延べ面積は約75万m2。建物内には住宅のほかにオフィスや商業施設、学校、病院、ホテルといった街に必要な機能を備える。電力は木質バイオマス発電で賄う計画だ。大林組は、木の年間成長量を1ヘクタール当たり2.15m3と想定し、LOOP50の維持に必要な森林面積を1万9408ヘクタールと試算している。小林部長は「日本は森林面積が2500万ヘクタールと世界的にも豊富な森林資源に恵まれているが、有効活用されていない。森林と共生するLOOP50は、国内の林業を活性化させ、二酸化炭素の排出量を削減する役割を果たす」と話す。

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