先行投資のため赤字が続いているLINE社の新規事業。同社は、その中の1つであるMVNO事業「LINEモバイル」に関して、ソフトバンク傘下として距離を置く判断を下している。LINEモバイルを手放す一方、決済事業「LINE Pay」は残した。LINE社の狙いはどこにあるのだろうか。

LINE社の業績にも影響を与えた新規事業の赤字

 メッセンジャーアプリ大手のLINE社は現在、事業拡大に向け様々な新規事業を打ち出している。音声アシスタント「Clova」などはその代表的存在といえるが、他にもいくつかのグループ企業を立ち上げ、新規事業の展開を推し進めている。

 だが、SNSなどで話題となったのはグループ会社の業績だ。というのも2018年4月20日、LINE社のグループ会社の2017年業績が官報に掲載されたのだが、主要な新規事業を担うグループ会社の赤字がかなりの規模であったため、不安視する声が多く上がったのである。

「Clova」など新規事業に力を入れるLINE社だが、その新規事業を手掛けるグループ会社の赤字が注目された。写真は2017年6月15日の「LINE CONFERENCE 2017」より(筆者撮影)
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 なかでも赤字幅が大きかったのが、LINE社の決済・送金事業を担うLINE Payである。LINE Payの売上高は約2億1300万円であるのに対し、営業費用が約29億5400万円、営業損失が27億4100万円、純損失も27億4400万円と、かなりの規模となった。

 同様にMVNOとしてスマートフォン向けの通信事業を展開しているLINEモバイルの赤字幅も大きかった。LINEモバイルの売上高は約33億8500万円だが、売上原価が売上高を超えている状況で、営業損失は約33億1100万円、純損失も約33億1300万円に達している。

 そうした新規事業の赤字が影響し、LINE社自体の業績も悪化している。2018年の第1四半期決算は、売上高が前年同期比25.2%増の487億3600万円であるのに対し、営業利益は69%減の12億4600万円、四半期利益は17億7000万の赤字となっている。

 大きな赤字を記録した事業はあくまで新規事業であり、先行投資を始めて間もない段階にある。しかもLINE社自身の企業体力は大きく、広告やコンテンツなどで高い売り上げを上げていることから、今回の赤字が直接LINE社の経営を揺るがすことはないだろう。