キャリアが一般ユーザーに向けて、次世代モバイル通信「5G」をアピールする取り組みを強めている。NTTドコモは2017年末に一般向けイベントで積極的なアピールを実施する一方、KDDIも2018年に入って5Gを活用したサービスの一般向けアピールを積極化してきている。2020年のサービス開始を控えるなか、キャリアの思惑はどこにあるのだろうか。

NTTドコモは2017年末に5G関連イベントを多数実施

 日本では2020年の商用サービス開始を目指すとされる5G(第5世代移動通信システム)。その無線通信方式である「5G NR(New Radio)」の標準仕様の初版策定が2017年12月21日に完了したことで、2020年の商用化実現が大きく前進した。

 その発表と前後する形で、5Gのアピールを積極化しているのがNTTドコモだ。同社は2017年より、東京スカイツリータウンや東京・お台場などで、5G技術を活用した新サービスの創出を進める「5Gトライアルサイト」を展開し、一般消費者に向けた5G技術のアピールを進めてきた。だが同年の年末にかけて、その動きを急加速している。

 実際11月9〜11日に、5Gを中心にNTTドコモの最新技術を活用した展示会「見えてきた、ちょっと先の未来〜5Gが創る未来のライフスタイル〜」を実施。5Gの高速大容量や低遅延といった特徴を生かしたコネクテッドカーの取り組みや、最大12台の8Kテレビに8K映像を送る様子、そして離れた場所にいる演奏者同士のセッションを実現する様子などが披露された。

2017年11月9日から実施されていた「見えてきた、ちょっと先の未来〜5Gが創る未来のライフスタイル〜」では、5Gを活用したコネクテッドカーの取り組みなどのデモ展示を実施した。写真は同イベントより(筆者撮影)
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 その前日となる11月8日から、NTTグループの最新技術を駆使し新たなエンターテインメント体験を提供する「FUTURE-EXPERIMENT」を展開。第1弾として、5Gを活用したテクノポップユニット「Perfume」のパフォーマンス映像を配信した。Perfumeのメンバー3人が東京、ロンドン、ニューヨークと、それぞれ離れた場所で同時にパフォーマンスを実施し、一部に5Gを用いたネットワークを活用し、それをリアルタイムに合成することで、ずれのないパフォーマンス映像を配信することで5Gの低遅延をアピールする試みだ。

 さらに11月29日には、FUTURE-EXPERIMENTの第2弾として、リオ2016パラリンピックで金メダルを獲得したベアトリーチェ・マリア・ヴィオ選手と、元選手の太田雄貴氏による車いすフェンシングの試合を9台の2Kカメラで撮影し、一部区間に5Gを用いたネットワークで試合会場から離れた東京スカイツリーに送信、9つの異なる視点から試合を楽しめるという取り組みも実施された。

一部5Gを用いたネットワークを用いて、多視点で楽しめる車いすフェンシングの試合を配信する試みも実施。ただし当日はデモ機材の不調のため、試合中だけ固定回線での配信となってしまったとのこと。写真は2017年11月29日の「FUTURE-EXPERIMENT VOL.2 視点を拡張せよ。」より(筆者撮影)
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 NTTドコモはこのほか、12月9日に東京スカイツリーにて、バンダイナムコエンターテインメントと共同で開発した、VRゲームコンテンツ「ソードアート・オンライン レプリケーション」を5Gネットワークを通じて配信する様子を披露。12月24日にはラグビートップリーグのNECグリーンロケッツ対NTTドコモレッドハリケーンズ戦で、スマートグラスとAR、5Gを組み合わせた観戦視聴システムが体験できる「新体感!みらいスタジアム」を開催している。いかに同社が、5G活用に関するアピールを強めているか、見て取ることができるだろう。

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