築50年の18階建てオフィスビルを改修し、省エネ性能を向上。外観や内装、間取りも刷新した。さらに最上階の上には3階を増築している。これほど広範囲に手を加えるのなら、建て替えたほうが早そうだが、なぜ改修を選んだのか。その理由を追う。(編集部)

改修後のバイヴァオフィスビル(撮影:Michael Heinrich)
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 ミュンヘン市内のアラベラパークは、1960年代に開発された典型的なエリアだ。観光地として有名なイングリッシュガーデンの東側に川を挟んで隣接し、高層マンションやオフィスビル、緑地が混在している。

 そのオフィスビル群の一つである、スターハウスとも呼ばれた建物は、その名のごとく上空から見ると十字星型をしている。1969年に完成した鉄筋コンクリート(RC)造、地上18階建てのビルで、農業やエネルギーセグメントで国内から海外まで事業を幅広く展開するバイヴァグループのオフィスとしての機能を長年果たしてきた。

 改修計画が持ち上がった時点で予定していたのは、外観や内装、間取りをモダンにするというもの。建築主はそれに応じた改修技術を持つ事務所を探していた。

 改修案を具体化する段階になり、「バイヴァ社の分散していた支社をアラベラパークに集約する」という方針が決まった。一方、ミュンヘン市は、当時のビルが周辺の建築物と比較して目立って低く見えるために、都市景観上の不満を持っていた。また、オフィス不足に悩む現地の不動産市場の問題から、既存ビルをボリュームアップしてほしいという意見も出てきた。

改修前のバイヴァオフィスビル(撮影:BayWaAG)
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 最終的に設計者に求めた要望は、「ファサードの改修」「既存オフィスの間取りの最適化」「内部のリノベーション」「省エネ化」「増築」となった。改修の範囲がここまで広がると、既存ビルを解体して建て替えるほうが早いかもしれない。しかし、町中という立地条件が解体のハードルとコストを引き上げるのは明らかで、建て替えは現実的ではなかった。

 設計を担当した建築設計事務所のHild und K Architekten(ミュンヘン)の代表でミュンヘン工科大学で講師も務めるHaber氏は、「この規模のビルを一つ解体するだけでも建設廃棄物は大量に発生する。環境を考えるのであれば、建材を生産する際に必要となるエネルギーや資源に配慮して既存の躯体を活用すべきだ。建物が長くそこに建ち続けることが持続可能性の第一歩。それを技術とデザインで可能にするのが建築士の仕事だと思う」と語る。

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