もしも、自分が住んでいる地域で、自動運転車の公道実験が始まったらどう感じるだろうか。おそらく、最初は物珍しさで実験車を見てわくわくするかもしれないが、そのうち怖くなってくるのではないか。何しろ、専門家が乗っていることは分かっていても、機械が運転する殺傷能力を持った未完成のクルマが近所を動き回っているのだから。

 近年、シミュレーション技術の進歩によって、公道で起きるさまざまな出来事を想定し、コンピューター上で自動運転車を操縦する人工知能を育てることができるようになってきた。それでも、自動運転車の完成には、公道実験は欠かせない。人間があらかじめ想定できる非常事態は、実際に起こり得る出来事の多様さに比べればごく一部に限られる。

 ともすれば恐怖の対象となる自動運転の実験車を公道で走らせるためには、住民や社会の理解が欠かせない。自動運転車が完成すれば、交通事故の発生は劇的に減少することだろう。しかし、発展途上にある実験車を、住民や社会の合意もなく動かすのは許されないのではないか。自動運転車による死亡事故の発生を契機に、あらためて自動運転車の安全について考えている今回のテクノ大喜利。3番目の回答者は、東京理科大学大学院の関 孝則氏である。同氏は、実用化に向けて避けて通れない公道実験の実施をいかに進めるべきか提言している。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
関 孝則(せき たかのり)
東京理科大学大学院 イノベーション研究科 教授
関 孝則(せき たかのり) 2017年より東京理科大学の社会人大学院にて技術経営の教鞭をとる。前職セールスフォース・ドットコムの常務執行役員で、IoTなど最新技術を軸にしたビジネス開発を担当。日本アイ・ビー・エムにて技術理事、グリッドやLotus Notesなどの新規事業の技術担当、 米国IBMにて、本社技術戦略スタッフ、 メインフレーム開発、著作権侵害調査などに従事。
【質問1】現在の自動運転車の技術開発の動きを見て、危うさを感じる部分はありますか?
【回答】公道実験の少ない技術開発を中心に安全な自動運転を確立しようというやり方は実用化を遅らせる 
【質問2】自動運転車の安全性を一層高めるため、自動車業界が注力すべきことは何でしょうか?
【回答】交通システム屋として、技術開発だけでなく、社会課題の解決を軸にした特定領域での公道実験を積極的にリード
【質問3】安全性を高めるため、電子業界やIT業界が注力すべきことは何だと思われますか?
【回答】今までにない複雑系のシステムを対象にして、信頼性の高いソフトウエア開発を行う力をつけること 

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