ノイマン型コンピューターは、当初は真空管の集合体として誕生した。その後、演算素子が真空管からトランジスター、そして半導体集積回路へと代わっていったことで、コンピューターのダウンサイジングが進んだ。今、ポケットの中のスマートフォンには、高性能なノイマン型コンピューターが搭載されている。もしも、仮に演算素子が真空管のままだったら、現在のような高性能が実現することも、ポケットの中に収まることも、一般消費者が購入することもできなかっただろう。

 現在の量子コンピューターは、超電導素子など、現時点でかなり特殊といえる材料や構造の素子を量子ビットの演算に使っている。ノイマン型コンピューターのダウンサイジングを支えた、シリコンをベースにした半導体素子とは異質なものだ。量子コンピューターが、これから高性能化、小型化、低コスト化していく際に、これまでの半導体技術を一度リセットして、全く新たな生産技術を構築していくことになるのだろうか。より早期に量子コンピューターを実用化し、産業として成立させるために、既存の半導体技術を有効活用することはできないのだろうか。

 量子コンピューターの産業化に伴う、半導体産業の貢献余地と新市場としての価値、また波及効果について議論している今回のテクノ大喜利。2番目の回答者は、服部コンサルティング インターナショナルの服部毅氏である。欧米を中心とした世界での先端半導体技術の開発動向をつぶさにウオッチしている同氏は、量子コンピューターの本格的な実用化と大きな産業への成長の起爆剤となる、シリコンベースの量子ビットの重要性を指摘した。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
服部 毅(はっとり たけし)
服部コンサルティング インターナショナル 代表
服部 毅(はっとり たけし)  大手電機メーカーに30年余り勤務し、半導体部門で基礎研究、デバイス・プロセス開発から量産ラインの歩留まり向上まで広範な業務を担当。この間、本社経営/研究企画業務、米国スタンフォード大学 留学、同 集積回路研究所客員研究員なども経験。2007年に技術・経営コンサルタント、国際技術ジャーナリストとして独立し現在に至る。The Electrochemical Society (ECS)フェロー・終身名誉会員。マイナビニュースや日経 xTECHなどに、グローバルな見地から半導体・ハイテク産業動向を随時執筆中。近著に「メガトレンド半導体2014-2023(日経BP社)」「表面・界面技術ハンドブック(NTS社)」「半導体・MEMSのための超臨界流体」(コロナ社)がある(共に共著)。
【質問1】量子コンピューターの実用化と産業化に、半導体産業はどのような貢献ができると思われますか?
【回答】古典的コンピューターの性能向上に向けたCMOSデバイスの微細化に取り組んできた300mmファブで、今度は量子回路の大規模化と量産化に貢献
【質問2】量子コンピューターの普及は、半導体ビジネスの成長に、どのような効果をもたらすと思われますか?
【回答】シリコン量子プロセッサーという新たに発展する中核デバイスの登場で、半導体ビジネスはますます成長する
【質問3】量子コンピューターの活用で、半導体産業のビジネス運営や技術開発には、どのような波及効果があると思われますか?
【回答】製造工程全体の最適プロセス開発や最適材料開発、販売における流通経路の最適化による半導体事業の効率化

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