このコラムの記事構成者はかつて、半導体技術者をしていた時期があった。半導体チップというのは、本当に多種多様な技術の集合体として出来上がっており、複雑な生産工程のいち工程の技術開発を担当していると、自分が何を開発しているのか実感できなくなってくる。技術開発という行為自体が好きで好きで仕方がない人ならばそれでもよいのかもしれないが、私の場合、今ひとつモチベーションが高まらない面があった。

 しかし、パソコンのメモリーを増設する際、実際に使われているDRAMなどを目にした時、言いようのない誇らしさを感じたものだ。他の会社の製品なのに、自分はDRAMの開発に直接関わっているわけでもないのに・・・。同じ多様な技術の集合体の製品でも、クルマを開発している人は成果を日々目にできるのだから、うらやましく感じていた。

 人間を月に送り込んだアポロ計画に携わった人は、どんなに末端にいた人でも、打ち上げ、月面着陸、地球への帰還といった節々の出来事で、生涯最高の感動を味わったことだろう。しかも、アポロ計画に向けて開発された新技術の数々は、今も多くの工業製品の中に息づいている。何と幸せな人たちであることか。多くの人が関わって大きな仕事をするとき、こうした分かりやすいシンボルの存在はとても大切な気がする。

 再登場したaiboの意義と実利を考えている今回のテクノ大喜利。5番目の回答者は、東京理科大学大学院の関 孝則氏である。技術開発におけるシンボル的なプロジェクトの意義について考察した。

(記事構成は、伊藤元昭=エンライト
関 孝則(せき たかのり)
東京理科大学大学院 イノベーション研究科 教授
関 孝則(せき たかのり)  2017年より東京理科大学の社会人大学院にて技術経営の教鞭をとる。前職セールスフォース・ドットコムの常務執行役員で、IoTなど最新技術を軸にしたビジネス開発を担当。日本アイ・ビー・エムにて技術理事、グリッドやLotus Notesなどの新規事業の技術担当、 米国IBMにて、本社技術戦略スタッフ、 メインフレーム開発、著作権侵害調査などに従事。
【質問1】aiboを復活させたことで、ソニーの技術開発や製品開発に、どのような効果が及ぶと思われますか?
【回答】「自律し、対話し、成長する道具」という未開の製品分野を開拓するスピリットの象徴になりえる可能性
【質問2】新しいaiboの事業は、将来的にソニーの業績を直接押し上げる実利を生み出す可能性があると思われますか? 
【回答】新しい分野の製品としての実験的な学びを、他の多くの製品の進化につなげられれば大きな実利を生むだろう
【質問3】業績不振からAIBOの事業を止め、回復と共にaiboの事業を再開したソニーから、他の企業は何を学べると思われますか?
【回答】数字だけでなく市場での声、社員の声に重要なヒントがあること

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