本記事は、電子情報通信学会発行の機関誌『電子情報通信学会誌』Vol.101 No.2 pp.191-197に掲載された「携帯・スマホ等を活用した遭難者の位置特定」の抜粋です。全文を閲覧するには電子情報通信学会の会員登録が必要です。会員登録に関して詳しくはこちらから(電子情報通信学会の「入会のページ」へのリンク)。全文を閲覧するにはこちらから(電子情報通信学会のホームページ内、当該記事へのリンク)。『電子情報通信学会誌』の最新号はこちら(最新号目次へのリンク)。電子情報通信学会の検索システムはこちら(「I-Scover」へのリンク)。

1. まえがき

 昨今、冬季登山において雪崩などによる遭難や、スキー場においてバックカントリーと呼ばれている立入禁止エリア等での遭難が増加する傾向にあり、遭難者の救出や捜索を迅速に行うことが求められている。遭難者の救出や捜索を迅速に行うための基本は、遭難者の位置特定にある。位置特定に関しては、例えば登山に関しては“ビーコン”等の携帯センサが実用化されている。しかし、専用の装置(送信機、端末)が必要となる、電波の到達距離が短いため捜索範囲が狭い、等の課題がある(1)

 そこで、現在最も普及している無線通信端末である移動通信の携帯端末(携帯)やスマートフォン(スマホ)を利用して、遭難者の位置特定を行うことができれば、“ビーコン”のように専用の装置を必要としない、全国規模の広域な無線通信エリアが構築されている、などの利点がある。

 最近の携帯やスマホには人工衛星からの信号を受信して端末の位置を特定するGPS(Global Positioning System)機能が基本機能として組み込まれている。このGPS機能は上空が開けた場所であれば、数m程度の距離誤差でその端末の位置を特定することができる。すなわち、携帯やスマホのGPS機能と広域での無線通信機能を活用し、遭難者の端末の“位置情報(GPS情報)”を捜索側に迅速に通知できれば、遭難者の救出や捜索に活用できる。しかし、山岳やスキー場などの携帯基地局のサービスエリア外となっている場所や地表がサービスエリア内であっても端末が雪下に深く埋まった場所では、GPSの電波が受信できても携帯基地局の電波が届かないことから、端末の位置情報を捜索側に通知できない。

 そこで、迅速にサービスエリア外の遭難者の端末との通信を確保する方法として、雪上車係留気球無線中継システムやドローン無線中継システム等の“臨時無線中継システム”を利用し、それを介してGPS情報を捜索側に通知する“遭難者の位置特定システム”を提案した(2)

 本稿では、サービスエリア外の雪下に埋まった端末を想定して、提案システムの概要及び実証実験結果について説明する。

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