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中山聡史=A&Mコンサルト 経営コンサルタント

 5月の連休も終わり、新年度になり早くも1カ月が過ぎました。皆さんが勤務している企業では、新入社員が研修を受けている頃ではないでしょうか。そんな新人設計者のために、私の考える「設計者」のあるべき姿を紹介したいと思います。

 先日の日本経済新聞に5年後、機械設計者は少なくなっているといった記事がありました。今の時代はソフトウエア設計者の方が圧倒的に人気があるようですから、好んでメカニカルな機械を触りたいという人は少ないのかもしれません。しかし、どんな製品でもハードウエアは必ず存在します。そのためには機械設計が必要になってきます。新人設計者に向けて、大きく成長するための心構えを説明しましょう。

 皆さんは設計者にどのような心構えが必要だと思いますか。

[1]品質が非常に高い製品を設計する
[2]世界一の技術力が詰まった製品を設計する
[3]最先端技術を取り込む

 ざっとこんなところではないでしょうか。品質や技術力、最先端技術などを基に設計する。非常に大切なことだと思います。確かに、これがなければ他社との差異化ができません。しかし、これは本質とは言えません。設計の本質とは、「お客様が望むものを造れるような設計を行う」、これなのです。

CADが使えるだけじゃダメ

 ここには2つの要素が隠れています。

①「顧客目線」
②「ものづくり目線」

 設計者は自分たちの技術に酔ってしまうことがあります。「この技術は世界最高だ」とか、「この品質で負けるはずがない」などと思ってしまうことがあるのです。しかし、どんなに素晴らしい製品でも、顧客が必要としていなければ、それは製品ではなく単なる「ガラクタ」です。図面は、ものを造ることができなければ、単なる「紙クズ」となるのです。

 では、「顧客目線」や「ものづくり目線」で仕事をするためには、何を考えれば良いのでしょうか──。

 私は、設計者の役割とは、製品を構造化することだと考えています。企画したものや顧客からの要望を製品化することであり、設計図面を描くことはあくまでも作業です。作業とはいえ、図面を描くためには技術が必要です。

 ただし、図面を描くための技術を持ち合わせていれば設計者としての役割を果たせているかというと、そうではありません。くどいようですが、設計者の役割は企画や顧客の要望を具体化し、製品化することです。そのため、「構想設計やポンチ絵などの設計図面を描くための前段を考える」というのが、設計者の最も重要な役割です。

 まとめると、設計者の役割は、顧客や他の部門の要望を取り入れ、構造化することです。新人設計者の皆さんはもう既にCADの研修などを実施しているかもしれません。しかし、CADを操作するといった技術的なことが設計者の仕事の本質ではないことを肝に銘じてください。

 何度も言いますが、さまざまな構想や情報収集、技術の内容を考えることが設計者の仕事の本質です。そこから技術を駆使し、CADなどを操作して、図面を仕上げるのです。

 ぜひ、設計者の役割を十分に把握した上で、本物の設計者になってください。