次のような質問が私の事務所に寄せられました。

【質問19】

 私は、光学検査装置を製造する中小企業の機械系設計者です。高専出身で入社5年目です。昨年、國井先生の「國井設計塾・全5回」を受講しました。7月14日開催の「開発期間とトラブルを半減させる高速設計」の時、先生は高専出身者を高く評価していると聞きました。とても嬉しく思いました。しかし、自分の機械設計者としてのレベルが全く分かりません。自分の実力がどれくらいかを知りたいのです。どうにかして測る方法がありますか? 教えてください。

 この質問に対する私の回答はこうです。

【回答18】

 どれほど偏差値の高い大学や大学院を卒業しても、いくら資格を有していても、技術者という職業には、学術知識の他に実務知識が必要です。入社時または、入社後に自分の実力はどのくらいだろうかと疑問を持つことはとても大切なことです。受験生時代の偏差値と同じく、何かを物差しにして自分の実力を知るのは大切なことなのです。自分の実力に疑問を抱かなければ、「我流」の自己満足で自分の技術者人生を送ることになります。今回はそうならないために、自己の実力を把握してみましょう。

 入社後10~20年くらいの技術者と懇談していると、ちょっと驚くシーンに遭遇します。何に驚くかと言うと、仕事の進め方やトラブルの解決法が「我流」の自己満足に陥っており、自分が1番だと思い込んでいる人がとても多いことに、です。もしかすると、そう指摘する筆者も、その類(たぐい)かもしれませんが。

 第18回のコラムでも述べた通り、寿司屋や大工は親方が弟子を「修行」という長くて辛い基本を経験させることで日々指導しています。例えば、寿司職人は「飯炊き3年、握り8年」という言葉がある通り、修行は10年以上かかると言われています。ところが、設計者の場合はその「修行」がありません。その証拠に、新人からいきなり製図です。しかし、設計者にも修行が必要であることは第18回に解説した通りです。それでは、今、あなたの設計者として自分の実力はどれくらいでしょうか? 機械系技術者を例に把握してみましょう。

コンピテンシーとは偏差値のこと

 まずは、「コンピテンシー」を理解しましょう。学校、そして受験システムは非常に良く出来ています。若き日の大切な時間を受験だけで浪費しないように、誰もが1度で自分の実力に合った希望校を受験できるように導いています。その源泉が「偏差値」です。偏差値があるからこそ、「己の実力を把握して、将来の目標を定める」ことが成し遂げられるのです。技術者にも「偏差値」が必要です。それが、コンピテンシーです。図1を参照してください。

図1●コンピテンシーと偏差値の対比
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