設備が正しく動作しなかったり所定の能力を十分に発揮できなかったりすると、工場の生産計画を100%達成することが難しくなる。予定コストの超過や納期の遅延、そして品質の悪化などの問題が発生するからだ。そうならないように設備を維持管理することが「保全(設備保全)」である。

 設備保全は、大きく「事後保全」と「予防保全」に分かれる。「事後保全」とは、設備が故障したときに原因を調査し、次に同じ問題が起きないように対策を取ることだ(注:単に故障箇所を直して設備を再稼働させるだけなら、単なる修理である)。一方、「予防保全」とは、設備が故障する前にあらかじめ故障しやすい箇所などをチェックし、壊れやすい箇所などは壊れる前に交換をするなどの対策を取ることである。

[画像のクリックで拡大表示]

 設備保全を行わなければ、工場の操業はままならず、QCDが確保できない状態が続く。そのため、企業経営に大きな打撃を与える。しかし、設備保全の必要性を工場のメンバー全員に感じてもらうのは難しい。

強い工場づくりのポイント

 実施する必要が感じにくい行動は、放っておくと間違いなく優先順位が落ちていく。日々の多忙な操業を理由に設備保全が行われないことはその典型と言えるだろう。強い工場とは、目の前にある課題(例えば今日の出荷など)はもちろん、中・長期的な課題をつぶさに認識した上で、喫緊か中・長期かを問わず、決めたことを地道に推進できる工場のことだ。

 設備保全の時間は通常は「計画停機」と呼ばれる非稼働時間になるため、短期的な視点に立てば、生産性は低下する。だが、設備が故障したときに発生する損失は、保全活動によって低下する損失の比ではない。工場の管理者は、実務者とは違った俯瞰的な視点から設備保全の重要性を理解し、設備保全を実行・推進する仕組みや体制を維持すべきだ。