日経Automotiveのメカニズム基礎解説「第20回:トルクベクタリング機構」の転載記事となります。

 ブレーキ制御型は、旋回方向の内側後輪ないしは前輪のブレーキを作動させることにより、旋回モーメントを発生させることができるもので、ESCが搭載されている車両であれば制御ロジックを組み込むだけで実現できる。ESCは車体の姿勢が不安定になると作動する安全装置であるのに対して、トルクベクタリングは通常の走行において車体に旋回モーメントを発生させ、スムーズなコーナリングを実現させるという違いがある(図4)。

図4 ドイツPorsche社「911」が採用するブレーキ制御型トルクベクタリング機構
コーナリング時に内側後輪に制動をかけて、後輪左右に回転差をつけることで、前輪の舵角を抑えながら旋回モーメントを高めることができる。旋回中心がより車体中心に近づき、週敏な動きと安定感のある走りを両立できる。駆動輪に制動をかけることで、反対側の駆動輪により多くのトルクを伝達することにもなる。なお、Porsche社は一部グレードに4輪操舵も導入している。
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 具体的には操舵や車速によりコーナーを曲がっているとECU(電子制御ユニット)が判断すると、コーナー内側の前輪、あるいは後輪にだけ制動力を発揮させ、ロールやアンダーステアを抑えて旋回させる。比較的安価にクルマの姿勢を制御できることから、中型車以下の車両にも用いられている。また駆動輪にブレーキを掛ける方式は、結果として左右駆動輪に伝えるエンジントルクの調整としても作用する。

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