日経Automotiveのメカニズム基礎解説「第20回:トルクベクタリング機構」の転載記事となります。

 ステアリング操舵で前輪の角度を変える以外にも、車両に旋回力を生み出させる方法がある。(1)駆動輪の左右のトルクを可変制御、(2)ESCで左右輪の片方に制動力をかける、(3)ステアリングホイールの操舵に連動して前輪だけでなく後輪も回転させる4輪操舵──の三つである。

 車体や駆動系を設計・開発するエンジニアはこれまで、直進安定性を高めながらスムーズな旋回を実現する機構を築き上げてきた。車体やホイールベースの延長、サスペンションの進化により、直進安定性は従来より格段に高まった。半面、車両質量の増加や車両サイズの拡大は、取り回し性やコーナーでの走行性能を悪化させる要因となっている。

 乗り心地を損ねずに旋回性能を高めるため、ステアリングホイールで前輪の角度を変えるだけでなく、車体の向きを変える力を発生させるデバイスを搭載したクルマが増えつつある。それが“トルクベクタリング機構”に代表される、車輪の駆動トルクを制御する機能である。

 トルクベクタリングは、駆動輪の左右の回転トルクを可変にすることで旋回力を生み出す技術。エンジンで発生したトルクを左右輪で可変にするものや、左右輪の片方に制動力を加える機構が含まれる。ステアリングの操作に連動して前輪だけでなく後輪を操舵する4輪操舵は、トルクベクタリングではないが、車両に旋回力を生み出させる点で、同じ効果を狙ったもの(表)。

表 クルマの旋回性能を向上させる主な技術
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