私たちは基本的に「性善説」で生きていると言えましょう。一方で「いや、ビジネスの世界はその逆で、何事も疑ってかからないとすぐだまされてとんでもない目に遭う」と言う人も多くいます。様々なお考えがあると思いますが、いずれにしても、この世の中は嘘と誠が入り乱れているということでしょうか。
 では、IoTという社会的情報システムが、もしも人をだましたり裏切ったりすることがあるとしたら、そのとき、私たちの暮らしやビジネスはどうなるのでしょうか。
 今回は、IoTが人を裏切ることを想定してみました。

 IoTが人を裏切るとは、どういうことなのでしょうか。「そもそもIoTという情報システムが人間のような行動を起こすこと自体が有り得ない話」と思う人も多いでしょう。しかし、AI(人工知能)の時代の中、このAIが悪さをして人を裏切ることは十分に考えられることであり、私はそれを心配しているのです。

 分かりやすい話をしましょう。カーナビのことです。
 カーナビで目的地を設定しますとAIが一番の近道を考えて表示するのですが、その道順を間違えることが間々あります。単純に、演算システムの不具合や間違いならいいのですが、もしもこれがAIの意図的な行為だとしたら、裏切り行為と言えないでしょうか。  行きたい所への最適な道順を教えてくれるはずがそれとは違う、しかも困らせるような道順を提示するカーナビは、まさに裏切りのカーナビです。
 そして、それは現実になりました。

 数年前でしょうか、米国で走行中のクルマに搭載されている高性能カーナビがハッキングされ、安全運転を促すプログラムが遠隔操作で書き換えられて事故を起こすという“事件”がありました。もともとのプログラムでは、クルマの速度と道路のカーブを測りながら自動的にブレーキをかける仕組みになっていたのですが、何と、逆に加速され、重大事故になってしまいました。
 これは完全な裏切り行為です。悪意のハッキングがあったとはいえ、AIというコンピューターのシステムが人を裏切り、犯罪とも言える危険な状況に追い込んだのは事実だからです。そして今後、このような事故、いや事件が多発するのではないかと危惧されているのです。

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