熱を理解することは、電子機器の小型化、高性能化を実現する上で欠かせない。熱は、材料や部品の配置など様々な要因で変化する。これを適切に捉えるためには、理論に基づいた正しい計測とシミュレーションが重要だ。こうした熱計測のキーポイントについて、熱の挙動を熟知する、サーマルデザインラボ 代表取締役の国峯尚樹氏に聞いた。

熱を適切に捉えるためのポイントは。

 シミュレーション精度の重要性は認識されていますが、そのためには「入力情報の精度」を高めなければなりません。この認識がとても重要です。解析結果の精度については「5%以内を目標にする」「10%以内に収めたい」など、定量的な目標を掲げることがしばしばあります。しかし、そのために入力データをどのように高精度化するかという議論は、ほとんど耳にしません。精度目標はスローガンになっていることが多いのです。

 入力データの精度は、そのまま解析結果の精度に直結します。

 入力データの中で特に把握しにくいのが、消費電力と接触熱抵抗です。消費電力は動作状態や温度で変化する上に、部品ごとのばらつきも増えており、正確に把握できません。しかし、集積回路の場合は簡単に計測できないため、現場では苦労します。そこで、6月26日に開催する技術者塾「決定版! 電子機器設計のための実践的熱計測とシミュレーション」では、熱流束から発熱量を把握する方法について説明し、デモンストレーションします。

 接触熱抵抗は、理論的なアプローチでは数値を特定できないため、解析では苦労する部分です。これについても、測定方法やCAEモデル化方法について説明します。

 もちろん、シミュレーションの利用技術(モデル化やメッシュ分割)を蓄積することも精度向上には欠かせません。今回のセミナーではこれら2つを並行して行い、解析値と実測値を近づけるには何が必要かを考察します。シミュレーションを基盤とした熱設計プロセスの構築のために必要な情報を提供したいと考えています。