VR/AR技術の普及、また製品の高品質化や付加価値が求められる中で、触覚・触感に対する関心が高まっている。新たな技術や製品の提案は目白押しだ。そして、最近の研究開発は、指先の触覚・触感だけでなく、全身に広がっている。触覚技術の最近の市場動向や技術動向について、触覚技術の専門家である名古屋工業大学 大学院工学研究科 電気・機械工学専攻 准教授の田中由浩氏に聞いた。

触覚に対する関心が高まっています。

 注目度は増していますし、企画から製品まで、様々な形で触覚に関連する技術が取り上げられつつあるように感じています。

 例えば、「JST ACCEL 身体性メディアプロジェクト」が主体となって進めている「Haptic Design」プロジェクトでは、触覚技術に関するワークショップやセミナー、パネルトークなどが企画されています。今年(2018年)の「HAPTIC DESIGN AWARD」では、20カ国、総計117の触覚に関する作品が集まったそうです。また、富士通の「interactive shoes hub」では、靴にセンサーやアクチュエーターを内蔵し、企業や大学などと連携して様々なデバイスやサービスが提案されているようです。

 製品では、安価に触覚を提示できる「触感デバイス体験モジュール」が販売されたり、触覚を扱うベンチャーからも、H2Lの「UnlimitedHand」や「FirstVR」、Xenomaの「e-skin」、exiiiの「EXOS」が登場したりして、製品がどんどん増えています。海外でも英UltraHapticsが製品の販売を加速させるなど、注目を集める動きが出てきています。

 他にも、私が関与した例ですが、テック技販と名古屋工業大学の共同研究によって、指先で対象に触れながらその時に生じた皮膚の振動を捉えるセンサーシステム「ゆびレコーダー」が発売されました。触覚技術に関するたくさんのツールが出始めており、引き続き増えると思います。そして、同時に活用段階に入ったと感じています。つい最近では、全日空(ANA)がXPRIZE財団と遠隔操作ロボットに関する総額1000万米ドルの賞金レース「ANA AVATAR XPRIZE」を発表しました。おそらくここにも触覚技術が必要になるでしょう。