自動車に数多くの半導体デバイスが搭載されるようになり、EMC性能の確保は難しくなるばかりだ。また、自動運転やセンサー技術の進化により、より高速なインターフェースを用いた通信が必要となっている。ノイズ対策やEMC設計をする上で重要な要素技術の1つが、本コラムで2018年1月に取り上げた「シグナルインテグリティー」(関連記事)。そしてもう1つが「パワーインテグリティー」である。今回は、パワーインテグリティーの効率的な学び方などについて、ノイズ対策/EMC設計の専門家である河村隆二氏(イノテック 設計解析ソリューション部 部長)に聞いた。

パワーインテグリティーの学習は難しいという声をよく聞きます。

河村隆二氏
(イノテック 設計解析ソリューション部 部長)

 パワーインテグリティーは、それ自体は高度な学問体系であり、パワーインテグリティーだけを取り上げた専門誌も多数出版されています。しかし、それらは数多くの数式を紐解いていく必要がありとても難解なものです。

 パワーインテグリティーを効率的に身に付けるには、実際の実務や開発と結び付けて学習することが重要です。5月24日に開催する技術者塾「EMC設計のためのパワーインテグリティーの解析技術」では、これまでの実務経験とパワーインテグリティー解析ツールの開発経験に基づき、これらの経験から得られたパワーインテグリティーのエッセンスを分かりやすく整理した形でお伝えします。さらに、すぐに実践で役立つように、パワーインテグリティー解析ツールによるデモンストレーションを織り交ぜて解説します。

 また、お話しできる範囲で実際のノイズ対策で培った経験やトラブル事例をお伝えします。こうした先行事例などに学びながら基礎知識を習得することで、パワーインテグリティーの本質が身に付きます。

 さらに、シグナルインテグリティー/パワーインテグリティー/EMCの相互の関係性を説明することで、ノイズ対策の全体像を把握できるようにします。

今回のセミナーは、どのような方々に参加いただきたいですか?

 想定している対象者は、システム設計者、回路設計者、アートワーク設計者の方々です。これらの方々に対して、現状のノイズのトラブルを打開するためのヒントを提供し、これまで実施してきた対策が今後も適用可能なのか、どのような技術的な裏付けがあるのかなどを理解していただき、自分で考えるための“体系化された理論・技術”を提供したいと思っています。

 シグナルインテグリティー/パワーインテグリティー/EMCの分野は、技術的に難解で、分かりにくい分野です。しかし、これまでのコンサルティング経験を生かした分かりやすい説明を心掛けますので、新人エンジニアや営業担当者などエレクトロニクスに関わりのある幅広い方々にご参加いただければと思っています。

今年は、「車載機器のノイズ対策/EMC設計 マスターシリーズ」として、全3回のセミナーを企画しました。本シリーズを受講することで、受講者はどのようなスキルを身に付けたりできるか、ご紹介ください。

 通常は別々に開催されるシグナルインテグリティー/パワーインテグリティー/EMCを統合した形で体系的に学べることと、これに合わせてすぐに現場で役立つ実践的なスキルを見つけられることが、本シリーズ特徴です。全3回シリーズの第2回ではパワーインテグリティーおよびEMCに特化したスキルの習得をメインに行っていきます。

 パワーインテグリティーに関しては、下記のスキルが身に付きます。

  • パワーインテグリティーの基礎となるコンデンサーの基本特性
  • PDN(Power Distribution Network)に関して
    • インプットインピーダンス
    • トランスファーインピーダンス
    • ターゲットインピーダンス
  • インピーダンスと過渡応答の関係性
  • ノイズの原因となる反共振とそのメカニズム、抑制方法
  • ノイズ対策部品とその評価について
  • プレーン共振現象とその抑制方法
  • LSI/パッケージ/PCBが組み合わさった際の相互作用について
  • IRドロップとその抑制方法について

 EMCに関しては、下記のスキルが身に付きます。

  • EMC規格概要
  • 疑似アンテナとその対策
  • 信号配線からの放射とその抑制方法
  • 電源からの放射とその抑制方法
  • ノーマルモードとコモンモードノイズ、その抑制方法
  • 伝導ノイズとその抑制方法
  • イミュニティーとその抑制方法
  • EMCルールチェックとその有効性