車載用ディスプレーおよびタッチパネルの市場は、今後大きく成長すると期待されている。同じディスプレーやタッチパネルでも、テレビやスマートフォンなどの民生機器向けと車載機器向けでは、要求性能は大きく異なる。日経BP社は「人と車のインターフェースを支える車載部品技術」と題したセミナーを、技術者塾として2018年3月29日に開催する(詳細はこちら)。本講座で講師を務める鵜飼育弘氏(Ukai Display Device Institute 代表)に、車載ディスプレーとタッチパネルの市場・技術動向や、今後のニーズに対応するために必要なことなどを聞いた。(聞き手は、田中直樹)

車載ディスプレーとタッチパネルについて、この1年の市場動向、応用動向をご紹介ください。

 スマートフォンに続くディスプレー市場のけん引役として、「車載」や「フレキシブル」に注目が集まっています。運転者が見るコックピット用だけでなく、助手席は後部座席の同乗者が楽しむためのキャビンエンターテイメント用の市場拡大も期待されます。また、バックミラーやサイドミラーの代わりにカメラモニタリングシステム(CMS)を使用する「ミラーレス・カー」の設計・製造が可能になりました(国土交通省の報道発表資料(2016年6月17日付))。

 2018年からは、米国おいて「KT法(Kids and Transportation Safety Act)」と呼ばれる。、車両後退時の歩行者巻き込み事故を防止するためのバックモニターカメラの搭載を義務づける法規が完全施行されます。従って、自動車における周辺認識システムと車載ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)が大きく革新することになります。

車載ディスプレーとタッチパネルについて、この1年の技術動向、技術トピックスをご紹介ください。

 近未来の自動車は、自動運転の進化によって、より安全・快適な移動を提供できるようになります。車内デザインも変化し、車内の居住空間も大きく広がっていきます。自動車は「第三の生活空間」になります。その結果、自動車に搭載されるディスプレーはより大型化していくでしょう。表示する情報量は増加します。一方、低消費電力化は不可欠な要素であり続けます。デザイン性の向上には、異形や狭額縁、曲面への対応が求められます。さらなる高解像度化や視認性の向上も含め、ニーズは多様化し、高度化していきます。

 ディスプレー用途は多様化し、安全性・快適性の追求は続き、さらにはデザイン性の向上への要求は高まるばかりです。こうした背景から、車室内のコックピットにおけるタッチパネルの位置付けは、「表示部材上のインプットデバイス」という従来の役割に加え、統合コックピットシステムを構成する主要部材の1つとして、大きく変わりつつあります。