自動運転や安全運転支援に必須な技術の1つが無線通信だ。その無線通信に欠かせないのがアンテナである。車載用アンテナの設計には特有の勘所があり、そのノウハウはほとんどのアンテナ設計に応用できる。日経BP社は「車載用アンテナ設計」に関するセミナーを、技術者塾として2018年3月15日に開催する(詳細はこちら)。本セミナーで講師を務めるアンプレット通信研究所(ACL)の根日屋英之氏に、車載アンテナ設計の最近の動向やトピックスについて聞いた。(聞き手は、田中直樹)

自動車分野に、アンテナ設計のニーズが広がっています。

 自動車の自動運転や安全運転が話題になっています。ここには多くの無線技術が導入されていくでしょう。私はアンテナの設計を仕事で行っておりますが、お客様から車載用のアンテナやその無線装置の概要を伺うと、自動車がネットワークにつながり、GPSの受信も行うので、「自動車はタイヤを履いたスマートフォン」と思えるようになってきました。携帯電話産業(製造業)が低迷している日本で、無線通信の技術者にとって車載用アンテナ設計という市場のニーズが出てきたように思います。

車載用アンテナに求められる要件が変化していると聞きます。

 自動車の電動化が進んでいます。ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)はガソリン車に比べて、電磁的な雑音が増えます。この雑音によって、無線システムの通信が影響を受けてしまいます。そこで、雑音を受けないように、車載アンテナを雑音源からできるだけ遠くに配置し、また、無線通信機器とアンテナを接続する給電線の引き回しにも耐雑音性の強い配慮が必要になってきます。

 ご相談に来られるお客様とディスカッションしていると、「無線通信における信号(signal)は強く、雑音(noise)は抑圧したい」、つまり「S/N比を稼ぎたい」という目的を達成するために、アンテナは一番高い自動車のルーフトップに設置したくなります。

 最近、自動車のルーフトップにサメの背びれのようなものを目にすることが多くなりました。これはシャーク・フィン・アンテナと呼ばれるものです。この中には無線通信のアンテナが入っており、車載アンテナとして注目されてきています。

車載用アンテナ設計の今後のニーズに対応するには何が必要か、教えてください。

 自動車で重要なことの1つに、燃費の向上があります。アンテナ設計の工夫で燃費向上に貢献するためには、アンテナを軽くし、空気抵抗を低減させることになります。軽量アンテナとしては、フィルムにアンテナを印刷する技術が多用されています。空気抵抗の低減については、車外の突起を抑えたシャークフィンの中に、低姿勢のアンテナを入れることになると思います。