日米の二重生活をしていると、妙なところで気にかかることが出てきます。その1つが、誰もが使う「トイレ」の事情です。生活習慣の違いだけでは理解できない違いがあります。日本の家屋では、トイレ、お風呂、洗面所がそれぞれ独立した部屋になっているのに対して、米国では一部屋に一式全部が入っています。米国ではトイレをバスルーム(Bathroom)と呼ぶのは、そのためでしょう。使い方が違ってくるのは当然かもしれません。

米国で開発、日本で普及した温水洗浄便座

 この20年で、日本の家屋のトイレ事情はずいぶん変わりました。ある統計調査によると、日本の家庭での温水洗浄便座の普及率は80%をかなり超えているそうです。病院やホテル、デパートやショッピングモールなどを含む新築のモダンなビルは、最近では、標準的に温水洗浄便座を装備しているようです。今後日本では、温水洗浄便座の普及率は、上がることはあっても、下がることはないでしょう。最近ではいろいろな機能が付け加えられて、便器カバーの開閉まで自動になっているものもあります。

 操作には耐水性と意匠性の優れたメンブレンスイッチが標準的に使われています(図1図2)。ここで消費されるセンサー、アクチュエーターの数はかなりのものでしょう。ちょっと気になるのは、信頼性と装置の寿命です。私が使った経験では、3セット設置しましたが、全て10~15年で故障してしまいました。水とヒーターの制御の他に、機械的に細かい動きを制御する機構を持たなければならないのですから、かなり信頼性の高いシステムを組み合わせなければならない事情があることは理解します。しかし、だからといって故障しても良いことにはなりません。

図1 日本メーカーの温水洗浄便座のコントロールパネル
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図2 日本メーカーの温水洗浄便座のリモート・コントロール・モジュール
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 一方、米国のバスルームにおける温水洗浄便座の普及率はといえば、かなり低いのが実情です。少なくとも、私の自宅以外では見たことがありません(拙宅のトイレの温水洗浄便座を見て、自宅に設置した人は何人かいます)。歴史をひもとくと、そもそも温水洗浄便座は米国で開発され、初期においては日本の病院や養護施設用に輸入されていたのだそうです。しかしながら、本家の米国では一般家庭に普及することはなかったようです。ただ、自宅に設置した人の話としては、もう温水洗浄便座なしの生活は考えられないとのことですので、生活習慣の違いで毛嫌いされているわけではなさそうです。

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