英国・ロンドンのケンジントンにある「ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館」(V&A博物館)は、世界最高の装飾芸術とデザインに関するコレクションを収蔵する著名な博物館だ。19世紀に即位していたヴィクトリア女王と夫・アルバート公がその礎を築き、1852年に産業博物館として開館した歴史を持つ。このほど増築工事が行われ、新生V&A博物館としてオープンした。

整備された中庭スペースとその地下部分の「エキシビション・ロード・クオーター」。ボイラーなどで隠れていた周囲の建築物の外壁面の装飾もあらわになった(写真:© Hufton + Crow)
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 長年、ボイラーで埋め尽くされていた中庭スペースを開放し、その地下を新たに掘削し、企画展示ギャラリーとして整備した。「エキシビション・ロード・クオーター」と呼ばれるエリアだ。

都市に溶け込むことを意図して、周辺に対して開けたつくりとしている(写真:© Hufton + Crow)
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 1909年に現在の建物が完成し、歴史的建造物として登録されているV&A博物館は、アストン・ウェブ卿によって設計された。彼が中庭として設計したスペースはやがて、ボイラー置き場となり、またそれらを隠すために羽目板で覆われた。美しい建物のファサードが隠れた状態で、その後も中庭は設備用スペースとして使われ続けてきた。

V&A博物館の配置図。今回の増築は、赤いドットで囲まれた範囲(資料:©Arup)
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 「エキシビション・ロード・クオーター」エリアの設計コンペは、企画展用のスペースが必要ということで、2011年に行われた。ギャラリーとなる天井高5mの無柱空間をつくること、ボイラーなどで隠れてしまっている周囲の建築のファサードを見せることなどが、要求事項に含まれた。