NTT先端技術集積デバイス研究所と東京工業大学は、テラヘルツ波を利用した無線通信でデータ伝送速度100Gビット/秒を実現したと発表した(ニュースリリース 、図1)。テラヘルツ波の周波数帯は300G~3THzとなるが、今回は300GHz帯の帯域幅は25GHzを利用した。この速度は多重無しの1波で実現している。変調方式は16QAM。今回の技術にMIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)やOAM(Orbital Angular Momentum)による多重技術を併用することで、400Gビット/秒を実現できると同社は見込んでいる(関連記事:NTTが新しい空間多重技術、まずは100Gビット/秒実現)。加えて、通信距離を長くするために発信器の高出力化を目指す。

図1 伝送実験の様子
(出所:NTT)
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 NTTは、2016年に300GHz帯を利用して伝送速度20Gビット/秒を実現しているが、そこからさらに5倍の性能向上となる。データの伝送速度向上に寄与したのが、同社が開発した通信用ICである。工夫したのはミキサー(混合器)だ(図2)。通信に利用される一般的な変調では、データを搬送波に乗せた周波数の低い中間周波(IF)信号と、発信器(LO)からの信号を混合(ミキシング)して高周波(RF)信号を生成する(図3)。一方、受信する場合は、受信波であるRFとLOをミキシングして元のIF信号を取り出す。テラヘルツ波のように極めて高い周波数を利用する場合、受信器と送信器のどちらでも、RFとIFがミキサー回路や他の回路のわずかな静電容量を介して雑音となり、互いに影響を与えてしまう問題があった。加えて、16QAMのように変調多値数を大きくする場合、高い信号雑音比(SNR)の確保が必要となる。

図2 開発したミキサーICとミキサーモジュール
(出所:NTT)
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図3 300GHz帯無線のフロントエンドの構成
AWG:任意波形発生器、DSO:デジタルオシロスコープ(出所:NTT)
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