どこでもネットにつながる「IoT(Internet of Things)」。次の成長分野として注目を集めているIoTを農業に活用しようという取り組みが始まっている。例えば、インターネットイニシアティブ(IIJ)は静岡県などと共同で、水田における稲作の水管理にIoTを活用する実証実験を実施している。実用化を目指す泥だらけの現場を取材した。

労働時間の20%が水管理

 稲作に関する一連の農作業のうち、田植え、収穫、防虫・除虫についてはトラクターやコンバインなどによる機械化が、40~50年前から進んできた。その一方で、機械化がまったく進まず取り残されてきたのが、水を管理する作業だ。

 気温や水温に合わせて水深を調節したり、花や稲穂ができる時期は水を絶やさないようにしたりするなど、稲作では水田の細かな水管理が必要となる。そのために、農家は毎日1~2回は水田を回りながら目で状況を確認し、バルブを手で開閉して引き込む水の量を調整していた。

 このため水管理のための労働時間が「(静岡県の調査で)年間543時間と全作業の約20%を占める」(静岡県の経済産業部 農地局 農地計画課 市川浩司技監)ほどになっている。これは、田植えの489時間(全体の18%)、収穫の474時間(同18%)よりも多く、農家にとって大きな負担になっている。

 この負担を減らすために、目を付けたのがIoTの活用だ。具体的には、水田にセンサーを設置して水位や水温を計測し、それを一定間隔で基地局に送る。基地局に送られてきたデータは携帯電話事業者のLTE回線経由でクラウドに集約。農家はそのデータをタブレットで確認して自動給水弁を遠隔から操作する。これにより、「水管理にかかっているコストを半分にする」(市川技監)という。

IIJが静岡県と実施している水管理システムの構成
(出所:IIJ)
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