「グローバルワーク」「ローリーズファーム」などのブランドを展開するアパレル大手、アダストリアが基幹システムの刷新プロジェクトを進めている。2018年3月にはPOS(販売時点情報管理)やECサイトなど、主要システムを一斉に刷新。今後は9月をめどに、国内約1300店舗のPOS端末を入れ替える予定だ。

 「まだプロジェクトは続いているものの、2018年3月の刷新で最大の山場を乗り切った」。プロジェクトを指揮する穴田浩一情報システム部長はこう話す。最大の山場とは、日本オラクルのデータベース(DB)専用機「Oracle Exadata Database Machine X2-2」の撤廃だ。Exadataは性能向上のための独自機能が組み込まれており、移行することが難しいと言われている。

アダストリアの穴田浩一情報システム部長

 アダストリアは約5年間使用してきたExadataを撤廃し、動作環境をオンプレミスからAmazon Web Services(AWS)に移行。DBソフトも日本マイクロソフトの「SQL Server 2016」に変更した。一連の移行で得られた効果について穴田部長は「商品や販売チャネルの多様化、データのリアルタイム性の実現、業務効率化を実現できた」と説明する。

ファームウエアを更新できない

 なぜ、それほどまでにExadataを撤廃したかったのか。穴田氏が部長に就任したのは2015年10月のこと。当時、同社のシステムは様々な問題を抱えていた。

アパレル大手のアダストリアがシステム刷新を決めた理由
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 Exadataを撤廃した最大の要因はディスク障害が1カ月に複数回の頻度で起こり、業務に支障をきたしていたからだ。原因は、アダストリアがExadataのファームウエアを更新していないことに起因している可能性が高い。「Exadataはシステムを稼働させながらファームウエアを更新できることはわかっていたが、システム障害のリスクを考えて踏み切れなかった。かといって、ファームウエア更新のためにシステムを計画停止することも、業務への影響が大きくできなかった」。穴田部長はこう打ち明ける。

 Exadata上で動作するアプリケーションについては、保守性の課題を抱えていた。稼働中のアプリケーションのソースコードやドキュメントがほとんど残されていなかった。当時の担当者らは既に退職。システム刷新を機にソースコードやドキュメントを整備し、保守性の向上を図りたかった。

事業の多角化に対応できないDB設計

 ExadataのDB設計も改善したかった。事業の多角化に追随できなかったからだ。アダストリアはアパレルや服飾雑貨から始まり、生活雑貨や化粧品、セミオーダー家具など取り扱い商品を増やしてきた。最近はカフェやヨガ教室まで展開。事業の幅が広がっているのに従来のマスターデータでは対応できない状態が続いていたのである。

 このほか、Exadataと各システムが複雑に連携し合っていた点も問題だった。倉庫管理、POS、EC、財務会計といった外部システムがExadataと接続しており、あるシステムの一部の変更がどのシステムに影響するのか特定しにくい状態だった。データのリアルタイム性も損なわれていた。

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